2012年9月2日日曜日

現場の力を最大限に引き出して成果を出すリーダーとは

8/20に放送されたNHKプロフェッショナル仕事の流儀を見ました。今回は、日本レストランエンタープライズというJR東日本グループの外食企業に勤めている大宮営業所所長の三浦由紀江さんでした。専業主婦をずっとされていたそうですが、44才の時にパート社員として働き始めると、担当する売り場の売り上げが急上昇し、53才で営業所長に抜擢されたそうです。現在、JR大宮駅構内の売店など9つの主に駅弁を扱う店舗を管理し、店舗のパート社員から、事務所の正社員など100人以上の部下を統括しています。三浦さんが所長になってから営業所で初めて売上を10億円以上にするなど素晴らしい成果を上げています。

しかし、営業所長になったころは、部下からはパート上がりになにができるのかと言われ、部下達は積極的に仕事をしない状況でとても辛い状況が続いたとのことです。その状態の時に、上司から「自分の得意なところから始めればいい」と言われ、リーダーとして無理な背伸びをしていたのではないかと気付いたとのことです。苦手なパソコンは自分でなんとかせずに、部下に助けてほしい素直にお願いする、その代わりに得意な販売に力を入れるなどを行いました。また、怒るのをやめ どんな小さなこともほめて感謝することに決めたとのことです。組織の中で人を育てるのは、子育てと同じで、「人のいいところを見つけ、そこを伸ばす」ということの重要性に気付いたとのことです。

それから、三浦さんは所長として部下に対して、以下を意識して行動するようになりました。

◆声をかける
三浦さんは部下に対して、「一番大事なのは声をかけること」と言っています。なぜなら自分がパート社員の時に声をかけられたらうれしかったからとのことです。出勤した日は駅の店舗に必ず立ち寄り声をかけ、店員の体調や仕事への意欲が下がっていないか確認しているとのことです。意欲が下がっている店員に対しては、さりげなく声をかけて相談に乗っています。部下の立場では、リーダーが自分のことをちゃんと見てくれている、気遣ってくれているといるだけでうれしく、リーダーのためにがんばろうと思うのではないでしょうか。三浦さんは、店舗の社員の方に声をかける時に、「今日は商品がきれいに並んでいますね。さすが〇〇さんだから。」と声をかけていました。部下に対しては、「ほめる時には事柄ではなく人柄をほめる」、「叱る時は人柄ではなく、事柄を叱る」とよく聞きますが、三浦さんは意識して「部下の人柄」をほめているのだと思います。事柄ではなく、人柄をほめられることで人として自分自身を認めてくれたとうれしさを感じ、もっとがんばろうと思えるのではないでしょうか。

◆任せる
店舗でのお弁当は80種類ほどあり、日によって1000~2000個と発注する数に幅があるそうです。売れ残れば利益が減るため、発注する弁当の数をいかに的確に発注できるかがポイントとなります。以前は、事務所の社員がすべて発注していたそうですが、三浦さんは、弁当の発注を売り場の店員に任せる仕組みに変更しました。なぜなら、店舗の社員は毎日お客様のことを考えているため、現場が一番分かっているからとのことです。店舗の社員は、三浦さんに指示をされたことをするのではなく、「余らせても足りなくても責任はこっちで取るから思うようにやってごらん」と言われて行動しているそうです。店舗の社員は、仕事を任されたことに対して責任感と誇りを持ち、自分で考えて行動することができることで、やりがいを持って取り組むことができるのではないでしょうか。

◆成功させる
三浦さんの部下で、鉄道博物館の店舗の支配人がいました。彼はアルバイトで入社して、真面目な働きが認められて社員になり、現在は支配人にまでなりました。彼は真面目な性格ですが、自信を持って自分の意見を伝えることができないという課題がありました。以前、新しい弁当の開発を支配人と三浦さん、そして弁当の老舗メーカーの担当者とで行いました。その時に、彼は、100年を越える老舗メーカーの担当者を前に気後れしてしまい、自分の意見を伝えることができませんでした。三浦さんは、支配人には自信を持って自分の意見を伝えられ、楽しく仕事をしてほしいと考えました。そのためは成功体験を一つ積ませることで、自信の芽を出すことが重要だと考えました。そこで、再度新しい弁当の企画を支配人と三浦さん、そして弁当の老舗メーカーの担当者と行う機会を設けました。その時に、三浦さんは支配人が自分から意見を言えるまで待ったり、意見を促したりしていました。三浦さんの関わりで、支配人は自ら意見を伝えることができ、弁当の企画にその意見が採用されました。新しい弁当ができた時に、三浦さんの計らいで、開発した弁当に支配人の名前が加えられました。発売日当日には三浦さんも現場に立ち、弁当を売り、お客様の反応が良いことを支配人に随時伝えていました。結局、お弁当は完売して大成功だったとのことです。
リーダーは「任せる」ことも重要ですが、部下が成功するまでにサポートをすることが重要だと思いました。部下は仕事を任せてもらい、成功体験を得ることができれば、自信を持ち、高い成果を出すことができると思います。

今回のプロフェッショナルを見て、三浦さんは、現場の力を最大限に引き出して成果を出すリーダーだと思いました。社員一人一人が自分らしさを最大限出し、自信を持って仕事をすることで、高い成果を出せる組織になると思います。三浦さんは、働くこととは何かという質問に対して、「働くことは楽しむこと、楽しんでいる人には誰もかなわない」と言っています。三浦さんは自分自身も「楽しむ」ことを意識していますが、同時に部下が「働くことを楽しむ」ことができるように、リーダーとして意識して行動していると感じました。

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