2012年9月9日日曜日

ディズニーのホスピタリティとは

みなさんは、ディズニーランドやディズニーシーには行ったことはありますか?2つの施設では、年間2500万人以上の来場者があり、9割以上がリピーターだそうです。すごいですね。ディズニーは、施設をステージのショーととらえ、従業員のことをショーに出演する「キャスト」、お客様をショーに参加する「ゲスト」と呼んでいるそうです。私はそれぞれ3回遊びに行ったことがありますが、キャストはいつも笑顔で、とても楽しそうに仕事をしています。ゲストを楽しませ、親切に対応する姿勢にはとても感心しています。東日本大震災の非常事態の時でさえも、キャストはゲストのことを第一に考え、冷静に対応したことでパニックにならなかったそうです。また、ゲストに対して自らの判断で行動をしていたキャストが多かったそうです。あるキャストは、販売していたぬいぐるみを防災ズキンの代わりにゲストに配っていたそうです。またあるキャストは、ゲストがお腹をすかせていると考え、店舗で販売していたチョコやクッキーを無償で配布したそうです。キャストは自身の安全や、家族・友人のことなど心配だったと思いますが、ゲストを最優先で考えて行動していたことはとても素晴らしいことだと思います。ディズニーでは、なぜキャストがゲストのことを一番に考えて行動することができるのでしょうか?

「9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ」という本を読みました。この本では、ディズニーが30年近く愛されてきた理由として「ホスピタリティ」がポイントだと言っています。この本では、「ホスピタリティ」と「サービス」には違いがあると言っています。「ホスピタリティ」とは、「相手に対する主体的な思いやり」と定義し、「自ら相手の気持ちになって、相手の立場に立って、共に考えてあげる気持ち・心・言動」のこと。「サービス」とは、「お客様に対して履行しなければいけないこと」です。ゲストに予想外の感動を与えてリピーターになってもらうためには、「サービス」だけでは足りず、「ホスピタリティ」が必要とのことです。しかしながら、「サービス」は、接客の手順などマニュアルにできますが、「ホスピタリティ」は、マニュアルにできないとのことです。目の前のゲストが今どんな気持ちで、どのように接すれば喜んでもらえるかは確かにマニュアルにはできません。ディズニーのキャストは目の前のゲストに対して、自分なりに考えて「ホスピタリティ」を実践しているとのことです。

この本では、「ホスピタリティ」を実践できるキャストをディズニーがどのように育成しているか、考え方が書かれていますので、紹介します。

◆「ミッション」と「行動指針」の共有
ディズニーでは、「ミッション」と「行動指針」が明確にあり、キャストに徹底的に伝えています。「ミッション」とは、その組織がめざすべき方向性のことで、組織の存在意義です。ディズニーの「ミッション」は、「すべてのゲストにハピネスを提供する」です。このミッションを全員に共有し、繰り返し伝えていくことにより、キャストは自然に「ゲストのために」という「ホスピタリティ」が自然に芽生えてくるそうです。
そして、「行動指針」とは、「ミッション」を達成するために、どのように考え、どのように行動するかの基本となる方針のことです。
ディズニーの「行動指針」は、英語の頭文字を取って「SCSE」と呼ばれます。「安全性(Safety)」「礼儀正しさ(Courtesy)」「ショー(Show)」「効率(Efficiency)」で、キャストは、この優先順位で行動することが求められます。
「安全性(Safety)」:ゲストにハピネスになってもらうためには、まずは「安全」を最優先させます。怪我などしてまったら、楽しい思い出が一瞬でなくなってしまいます。
「礼儀正しさ(Courtesy)」:すべてのゲストはVIPだと考え対応します。親しみやすい礼儀正しさを求め、笑顔、挨拶、アイコンタクト、身だしなみをきれいにすることを実践します
「ショー(Show)」:園内を舞台と考え、「オンステージ」と呼び、オンステージ上のすべてを「ショー」としてとらえ、すべてのゲストに素晴らしい体験をしていただくことを重要視します。
「効率(Efficiency)」:安全、礼儀正しさ、ショーを心掛けた上で、チームワークを発揮することで効率を高めます。お互いに助け合うことで、「ホスピタリティ」をゲストだけでなく、キャスト同士実践することを求めています。
行動指針もキャストに繰り返し伝えることで、キャストはお客様を目の前にしてどのような行動をすれば良いのか判断でき、実践できるのだと思います。

◆現場で実践できるための仕組み
上司や先輩が、キャストに積極的に声をかけ、キャストの接客に対してフィードバックやアドバイスをして、フォローをするそうです。それによって、「ミッション」と「行動指針」を具体的に現場でどのような行動をすれば良いのか学ぶことができます。また、キャストは、上司や先輩が自分のことを見てくれている、認めてくれていると感じ、さらに主体的・自主的に仕事に取り組むようになるとのことです。
また、ディズニーには、日頃からキャストの主体的・自主的な行動を許す風土があるとのことです。ミッションと行動指針に沿って、ゲストに喜んでもらえることを自ら考えて行動することを推奨しています。上司や先輩から言われて行動するよりも、自ら考えて行動したことに対してゲストから喜んでもらえることで、達成感や喜びを感じ、さらに自ら工夫して取り組もうとしようとするのではないでしょうか。


多くの会社では、顧客満足を第一に考えて行動するように社員に伝えていると思います。しかしながら、社員が自ら主体的に実践できている会社は多くないと思います。私はディズニーのキャストがゲストを最優先に考えて行動できている一番の理由は、「キャストの主体的な行動を許す風土」と「上司や先輩からのフィードバックやアドバイス」が大きいと思いました。なぜなら、会社から言われたことだけをするのではなく、自ら考えて行動したことが直接顧客満足につながることで、達成感を感じ、自信を持てるからです。自信を持ったキャストは、さらに自ら考えお客様に喜んでもらうために主体的に行動するのだと思います。また、「上司や先輩からのフィードバックやアドバイス」を随時行うことで、成功体験を積ませたり、さらに高い顧客満足を促進することも重要だと思います。

「ホスピタリティ」を実践できる社員を育てるためには、「主体的・自主的な行動を許す風土」と「上司・先輩からのサポート」が重要だと思いました。

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