2012年8月19日日曜日

『「超」入門 失敗の本質』に学ぶ日本の弱みとは

『「超」入門 失敗の本質」』という本を読みました。この本は、大東亜戦争時の日本軍の組織を研究した「失敗の本質」の入門書という位置付けで書かれています。戦争に負けてしまった日本軍の組織の弱みを分析し、現在の日本企業の組織にも共通点があると指摘しています。

現在、日本は経済的に世界で影響力が弱くなっています。日本は組織としてどのような弱みがあるのか、自分自身にも活かすべきところはないかと思い、この本を手にしました。この本のなかで、自分自身にとって学びがあったことについて書いていきます。

◆「戦略」を大局的に考えること
この本では、日本軍は「戦略」を大局的に考えることが苦手であると述べています。日本軍は、「戦術」のみを洗練させることに注力する傾向があったとのことです。
辞書で「戦略」と「戦術」の意味を調べてみました。

「戦略」:戦いに勝つための総合的・長期的な計略。
「戦術」:戦いに勝つための個々の具体的な方法。

「戦略」を考える上で重要なことは、この本では、「いかに目標達成につながる勝利を選ぶかを考えること」とのことです。日本軍は「最終的に戦争に勝つ」という目標に向けて「戦略」を考え、そのためにどのように勝利を得れば良いのか深く考えていなかった。そのため、目標達成につながらない戦闘に時間を費やしていたとのことです。日本軍は、大局的に「戦略」を考えず、「戦術」として目の前の戦闘にいかに勝つかのみに集中していたのだと思います。

私自身の仕事を振り返ってみると、日本軍との共通点があること気づきました。仕事をする時に目標を達成するための戦略、プランもあまり考えずに仕事を進めてしまう傾向があります。その結果、目の前の業務をこなすことに一生懸命になってしまうことで、目標達成につながる行動ができていないことが多いと思います。戦略・プランが明確に決まっていないため、結果とのギャップを測れず、振り返って次回への行動につなげることもできません。今後は、仕事をする上で、戦略を明確に立てることを意識して行動していきたいと思いました。

◆目的を押さえて新しい方法を考える
日本人は、一つの物事を改善し、洗練させていくことに強みがあると言っています。実際に日本軍は、厳しい訓練で、戦闘の技を達人的なレベルまで高めていくことで、とても強かったそうです。しかし、戦闘が人間の技だけに頼らない軍事技術(レーダー、命中精度の高い砲弾、操縦技術が低いパイロットでも運転でき、勝てる飛行機など)にシフトしていき、負ける戦いが増えてきたそうです。日本軍は戦闘の勝敗を決める流れを察知できず、達人の育成に執着してしまい、軍事技術の開発を軽視しまったことが、戦争に負けてしまった要因の一つであったようです。

この本では、シングルループとダブルループという考え方を紹介しています。

シングルループ:すでに備えている考え方や行動の枠組みにしたがって問題解決を図っていくこと。
ダブルループ:既存の枠組みを捨てて新しい考え方や行動の枠組みを取り込むこと。

日本軍はシングルループの考え方は得意ですが、ダブルループの考え方をして、変化していく状況に合わせて、根本的な解決策やイノベーションを起こしていくことは苦手とのことです。
私自身の仕事も振り返ると、今行っている業務のやり方を、早く正確に行うなど洗練させていくことのみに注力していることに気づきました。今の業務はなぜそのやり方を行っているのか、疑問を持ってあまり考えていませんでした。今後は、現在の状況を踏まえて、業務の目的は何か、新しい方法はないかを考えることが重要だと思いました。


私は、日本の強さは、一つの物事にこだわり、改善してさらによい物を創り出していく力だと思います。高度成長期は、つくれば売れていたので、製品の機能や性能を良くすることにこだわって製品を開発していけば良かったかもしれません。しかしながら、お客様のニーズが多様化している現在、日本企業は発想の転換が遅れ、お客様の視点を徹底的に考えた製品づくりを戦略的に考えて、実践してこなかったのではないでしょうか。お客様の視点を徹底的に取り入れて、日本人が持っている改善していく力で、よりお客様のニーズに応える商品づくりを行っていけば、現在の行き詰った日本の経済状況を乗り越えていけるのではないかと思っています。

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