2012年8月26日日曜日

「体感型ワーク」で、リーダーとしての強み・弱みを認識する

リーダーとして成長していくためには、常に自身の強み・弱みを把握し、行動を変えていくことが重要だと思います。自身の強み・弱みは、なかなか自分で気付くことは難しいと思います。有効な方法としては、現在リーダーの方は、仕事のなかで、メンバーから、実際に自身が取っている行動に対してフィードバックをもらうことです。フィードバックをもらうことで、自分では気付かなかった強み・弱みを理解して行動を変えることができます。
しかしながら、仕事の中で、メンバーがリーダーに対して率直なフィードバックを伝えるのは言いづらく、メンバー自身の評価を悪くしてしまう可能性があり難しいと思います。また仕事で忙しく、なかなかフィードバックを受けている時間をつくること自体が難しいと思います。また今後リーダーになる方に関しては、仕事のなかで自身がリーダーになる経験を持ち、メンバーにフィードバックをもらう機会を持つことが少なく、今後リーダーとして成長していくために自身の成長ポイントを理解することが難しいと思います。

リーダーとして成長していくためには、仕事のなかで自身の強み・弱みを認識でき、行動していける仕組みをつくることが大事ですが、研修を通して自身のリーダー行動を振り返るという方法もあります。世の中には多くのリーダーシップ研修があると思いますが、一つの方法として自身を振り返り、強み・弱みを認識するために、「体験型ワーク」という手法を取り入れた研修はとても有効です。「体験型ワーク」とは、体を動かしながらチームで目標に取り組むゲームを行い、リーダーやチームとしてのあり方を学ぶ手法です。ゲームでは、リーダーとメンバー役に分かれます。そしてゲームの後に、必ずメンバーからリーダーにフィードバックをする時間を持ちます。そこで、リーダーは自身が取った行動に対して良かった点、改善点のフィードバックを受けることで、強み・弱みを認識することができます。

先週、リーダーシップのセミナーでこの「体験型ワーク」を取り入れて実施しました。セミナーで実施したゲームは、リーダーを一人決め、チームで、制限時間以内にある物を3つ積み上げて塔を立てるというものです。その際、メンバーに目隠しをしてもらい、講師からリーダーのみにゲームのゴールを説明します。メンバーは目が見えず、ゴールを分かっていないため、リーダーとしてメンバーにいかにゴールを伝え、メンバーに行動してもらえるのかを実践します。

今回のセミナーでは、ゲームのリーダーにAさんとBさんが立候補しました。ゲームを行ってみて、それぞれのリーダーとしての強みと弱みが対照的でした。

Aさんは、ゴールを分かりやすく明確に伝えていました。また、随時途中経過や、今後どのような手順で物を積み上げていくのか説明していました。しかし、Aさんはメンバーに対して指示を伝えていましたが、指示が一方向になっていて、メンバーからの発言は少ない状態でした。ゲームが終わった後のメンバーからリーダーにフィードバックをしました。良かった点として、ゴールと途中経過を明確に説明したことで、メンバーはこれからどのような行動をすれば良いのかイメージしやすかったという意見がありました。一方、改善点として、リーダーの焦りがメンバーに伝わり、自分も焦ってしまった。一方的な指示が多く、分かりづらい時に聞きづらく不安だったという意見がありました。Aさんは、メンバーのフィードバックの後、目標を達成したいという気持ちで焦ってしまい、メンバーの気持ちをまったく考えていなかったことに気付いたとのことです。普段の仕事でもリーダーとして、目標や途中経過を明確にメンバーに随時伝えているそうですが、時間がないなか目標達成を意識し過ぎると相手の立場や気持ちを考えずに指示ばかりして、相手のやる気を下げていたかもしれないことに気付きました。

Bさんは、ゴールの説明をしましたが明確に伝えず、途中経過もをほとんど伝えていませんでした。しかし、メンバーに対して、うまくできた時は盛り上げるなど、チームの雰囲気はとても良く、メンバーからも意見が活発に出ていました。ゲーム後のメンバーからのフィードバックでは、良かった点として、ムードメーカーになってくれた、意見を吸い上げてくれた、ほめてくれたなどがありました。改善点としては、ゴールのイメージを明確に持つことができなかった、途中経過の説明がなく、なぜその行動をしなければいけないのかが分かりづらかったとの意見がありました。普段の仕事でも、チームの雰囲気づくりは意識して行っているとのことです。しかし、目標はメンバーに伝えているだだけで、メンバーがイメージし納得できるように伝えていなかったかもしれないことに気付いたとのことです。

以上、「体験型ワーク」のゲームをすることで、リーダーとして無意識に行っている行動が明らかになり、リーダーの強み・弱みを認識した例をご紹介いたしました。

リーダーシップを学ぶには、本や人から教わることも大事です。しかし、行動を起こすためには、自ら成功や失敗体験から気付き、納得することが必要ではないでしょうか。本来であれば、仕事のなかで仕組みをつくることが重要だと思います。しかしながら、仕事が複雑になり、リーダーの行動だけに焦点を合わせて考えることが難しくなっています。「体験型ワーク」はチームで活動して目標を達成するというシンプルな活動を通して、リーダーとして必要な行動を分かりやすく理解するためにとても有効だと思います。

2012年8月19日日曜日

『「超」入門 失敗の本質』に学ぶ日本の弱みとは

『「超」入門 失敗の本質」』という本を読みました。この本は、大東亜戦争時の日本軍の組織を研究した「失敗の本質」の入門書という位置付けで書かれています。戦争に負けてしまった日本軍の組織の弱みを分析し、現在の日本企業の組織にも共通点があると指摘しています。

現在、日本は経済的に世界で影響力が弱くなっています。日本は組織としてどのような弱みがあるのか、自分自身にも活かすべきところはないかと思い、この本を手にしました。この本のなかで、自分自身にとって学びがあったことについて書いていきます。

◆「戦略」を大局的に考えること
この本では、日本軍は「戦略」を大局的に考えることが苦手であると述べています。日本軍は、「戦術」のみを洗練させることに注力する傾向があったとのことです。
辞書で「戦略」と「戦術」の意味を調べてみました。

「戦略」:戦いに勝つための総合的・長期的な計略。
「戦術」:戦いに勝つための個々の具体的な方法。

「戦略」を考える上で重要なことは、この本では、「いかに目標達成につながる勝利を選ぶかを考えること」とのことです。日本軍は「最終的に戦争に勝つ」という目標に向けて「戦略」を考え、そのためにどのように勝利を得れば良いのか深く考えていなかった。そのため、目標達成につながらない戦闘に時間を費やしていたとのことです。日本軍は、大局的に「戦略」を考えず、「戦術」として目の前の戦闘にいかに勝つかのみに集中していたのだと思います。

私自身の仕事を振り返ってみると、日本軍との共通点があること気づきました。仕事をする時に目標を達成するための戦略、プランもあまり考えずに仕事を進めてしまう傾向があります。その結果、目の前の業務をこなすことに一生懸命になってしまうことで、目標達成につながる行動ができていないことが多いと思います。戦略・プランが明確に決まっていないため、結果とのギャップを測れず、振り返って次回への行動につなげることもできません。今後は、仕事をする上で、戦略を明確に立てることを意識して行動していきたいと思いました。

◆目的を押さえて新しい方法を考える
日本人は、一つの物事を改善し、洗練させていくことに強みがあると言っています。実際に日本軍は、厳しい訓練で、戦闘の技を達人的なレベルまで高めていくことで、とても強かったそうです。しかし、戦闘が人間の技だけに頼らない軍事技術(レーダー、命中精度の高い砲弾、操縦技術が低いパイロットでも運転でき、勝てる飛行機など)にシフトしていき、負ける戦いが増えてきたそうです。日本軍は戦闘の勝敗を決める流れを察知できず、達人の育成に執着してしまい、軍事技術の開発を軽視しまったことが、戦争に負けてしまった要因の一つであったようです。

この本では、シングルループとダブルループという考え方を紹介しています。

シングルループ:すでに備えている考え方や行動の枠組みにしたがって問題解決を図っていくこと。
ダブルループ:既存の枠組みを捨てて新しい考え方や行動の枠組みを取り込むこと。

日本軍はシングルループの考え方は得意ですが、ダブルループの考え方をして、変化していく状況に合わせて、根本的な解決策やイノベーションを起こしていくことは苦手とのことです。
私自身の仕事も振り返ると、今行っている業務のやり方を、早く正確に行うなど洗練させていくことのみに注力していることに気づきました。今の業務はなぜそのやり方を行っているのか、疑問を持ってあまり考えていませんでした。今後は、現在の状況を踏まえて、業務の目的は何か、新しい方法はないかを考えることが重要だと思いました。


私は、日本の強さは、一つの物事にこだわり、改善してさらによい物を創り出していく力だと思います。高度成長期は、つくれば売れていたので、製品の機能や性能を良くすることにこだわって製品を開発していけば良かったかもしれません。しかしながら、お客様のニーズが多様化している現在、日本企業は発想の転換が遅れ、お客様の視点を徹底的に考えた製品づくりを戦略的に考えて、実践してこなかったのではないでしょうか。お客様の視点を徹底的に取り入れて、日本人が持っている改善していく力で、よりお客様のニーズに応える商品づくりを行っていけば、現在の行き詰った日本の経済状況を乗り越えていけるのではないかと思っています。

2012年8月12日日曜日

なでしこジャパンの強さの秘密とは

連日オリンピックの観戦で、寝不足の方も多いと思います。メダルに向けて真剣に取り組んでいる選手の姿や、メダルを獲得した選手を見て、毎日感動をもらっています。個人的にはサッカーに注目していましたが、なでしこジャパン、銀メダルでしたね!男子は惜しくもメダルを逃してしまいましたがよく健闘したと思います。

なでしこジャパンは、2011 FIFA女子ワールドカップで優勝、オリンピックで銀メダルと、チームとしてとても成長し、強くなりました。練習や試合中の選手の様子を見ていると、選手達は明るく伸び伸びと、楽しそうにプレーをしています。また、試合後にほとんどの選手は、「最高の仲間と戦えて誇りに思う」、「このメンバーと戦えて幸せです」とコメントしていて、チームとしても雰囲気は良く、お互いに信頼し合い、プレーをしていることが伝わってきます。

なでしこジャパンはなぜ、ここまで強くなれたのでしょうか?

なでしこジャパンの強さの理由として、戦略・戦術や、フォーメーション、技術などいろいろあると思いますが、チームワークやリーダーシップという観点で、なでしこジャパンの強さの秘密を考えていきたいと思います。

なでしこジャパンの強さの理由は、以下3点あると思います。

1. 仲間を思いやり共感する
佐々木監督は、著書の「なでしこ力」の中で、なでしこジャパンの強みは、「仲間を思いやり共感する心」と言っています。辞書で調べたところ、「思いやる」とは、「他人の身の上や心情を推し量って、同情する。また、配慮する。」という意味です。また、辞書で「共感」するとは、「他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。」という意味です。チームメンバーのことを思いやり、自分事として共感し合うことで、お互いの課題に対して助け合い、落ち込んだ時には励まし合うことで、チームとしてお互いに力を高めていったのではないかと思います。

また「思いやる」には、「遠く隔たっている人や物事を思う。思いをはせる。」という意味もあります。オリンピック代表として試合に出られているのは、自分や自分達の力だけでなく、オリンピックに出たくても選ばれなかったすべての選手、スタッフの方々、応援してくれている方々、家族などお世話になった方々がいたからという思いを共有できたからこそ、チームとして一丸になって戦えたのではないでしょうか。
オリンピック初戦であるカナダとの試合開始直前のロッカールームで、キャプテンである宮間選手は、「ここに立てるのは選ばれた18人だけ。大切な思いや大切な人たちがいて、私たちは戦っている。ここからの6試合、お互いのために戦おう」とメンバーにメッセージを送りました。佐々木監督、チームメンバーは、宮間選手の言葉を聞いて、強く心を動かされて、みんなのために金メダルを絶対に取るという気持ちが強く働いたのではないでしょうか。


2. 自分らしさを最大限に発揮する
佐々木監督は、コーチを語源である「馬車(人をある地点まで送り届ける)」としたら、選手は「乗客」であると言っています。選手は「馬」で、ムチで叩いて目標に向かわせるのではなく、「乗客」である選手を目標の地点まで送りとどけることとのことです。そのために、コーチとして、「選手の力を引き出す」ことが重要であるとのことです。

佐々木監督は、前述の「なでしこ力」の中で、選手達に対して以下を意識して行っていると書いています。

・自ら考えさせる
サッカーの試合は、いったん試合が始まったら、監督ができることはあまりありません。試合のなかで、選手達自身が一つひとつ判断してプレーをする必要があります。佐々木監督は、監督が簡単に指示をしてしまったら、選手達の判断は絶対に身に付かないと言っています。監督は勝たせなければ、教えなければという想いが強くなり、型に当てはめてしまいがちだとのことです。規則や指示で選手を管理するのではなく、自ら考えさせ判断をさせることが重要とのことです。

・強みを活かす
佐々木監督は、選手の強みを活かし伸ばすことを意識して行っているとのことです。選手の強みを見抜き、本人にその強みが武器になることを伝え、強みを伸ばす。そして、適材適所で強みが活かせるポジションを与えるようにしています。なぜなら、本人がサッカーをもっとうまくなりたいと思うからこそ努力をし、強みを活かせる場を与えられたことで成長するからとのこと。選手の弱みを指摘することだけでは、本人は成長しないし、チームの力も成長しないとのこと。また、難しいことでも、「無理だ」と最初から諦めるのではなく、「まずはやってみる」ことを伝え、相手を信じ、「必ずできる」と伝えているとのことです。

・自分らしさを表現させる
佐々木監督の指導理念は、「選手に自分らしさを表現させる」とのことです。そのために、選手の前では、身構えず常に心を開き、等身大の一人の人間として振舞っているとのことです。自分らしさを表現できる、何でも言いやすい雰囲気づくりをするためとのこと。自らの感性や個性を大事にして伸び伸びと表現してもらうことで、自ら誇りと自信を持ったプレーができるとのことです。佐々木監督はインタビューでは、冗談をよく言っていましたが、「笑い」を大事にしていて、練習や、ハーフタイムの時に冗談を言って笑わせています。これにより、選手達はリラックスして、自分らしさを出せるようになると思います。

3. 楽しむ
試合では、キックオフ直前に、選手達が円陣を組んでいる時や、各ポジションに走っている時に、選手達の笑顔がとても印象的でした。緊張していてプレッシャーがあると思いますが、自然と笑顔が出ている姿を見て、楽しんでいることがとても伝わってきました。佐々木監督は、選手が楽しくサッカーができるように、何ができるかを考えているとのことです。練習では厳しいようですが、試合では、練習してきたことも大事だが、一番大事なのは「好きなサッカーを思う存分楽しむこと」と伝えているようです。ロッカーのホワイトボードには、細かい戦術ではなく、「楽しむ」と書いていたこともあったようです。

なでしこジャパンから、仕事で強いチームになるために、学ぶことがたくさんあると思います。

最後に、女性を部下に持つ方にとって、とても参考になる話がこの本に紹介されていたのでご紹介します。女性は、男以上に細かい点に気づきや、人に対する気持ちに敏感であり、仲間意識を重要視するとのことです。身だしなみに関しては、仕事でどんなに良い意見を伝えたとしても、鼻毛が出ていたことで、信頼と尊敬が減ってしまうとのことです。また、無表情であったり、すこしイライラすることだけで、女性は敏感に反応して委縮してしまったりするそうです。男性社員は女性社員に接する時には気をつけていきたいですね。

2012年8月5日日曜日

楽天の三木谷さんに学ぶ「成功のコンセプト」とは

三木谷浩史さんの「成功のコンセプト」という本を読みました。三木谷さんは、ご存じの通り楽天をたった2人で創業して、インターネットモール「楽天市場」を日本国内で最大級に成長させました。また、最近では今年の7月19日に発売された電子書籍リーダー「kobo Touch」が話題になっています。「成功のコンセプト」では、三木谷さんがビジネスを行う上で、重要だと考える5つのコンセプトを紹介しています。5つのコンセプトは、「常に改善、常に前進」、「Professionalismの徹底」、「仮説→実行→検証→仕組化」、「顧客満足の最大化」、「スピード!!スピード!!スピード!!」です。すべてのコンセプトはとても参考になりますが、この本を読んで、私が特に印象に残った2点をご紹介します。

◆改善は凡人が天才になる方法
三木谷さんは、凡人が少しずつでも日々改善を続けていけば天才になれると言っています。改善は誰でもでき、毎日たった1%の改善をするだけでも、1年続ければ37倍になる(1.01の365乗)。そして、改善をするためには、明確な目標を立て、絶対に目標を達成するとういう意識を持つことが重要とのことです。この本では、目標に対する2つの姿勢を紹介しています。それは、「Best effort basis」と、「Get things done」という姿勢です。「Best effort basis」は、目標に達成しなくてもがんばったから良いとして言い訳をする姿勢です。「Get things done」は、あらゆる手段を使って何としても目標を達成しようとする姿勢です。目標を明確に設定し、「Get things done」の姿勢で取り組むからこそ、真剣に改善ポイントは何かを考え、日々改善を実践し、目標を達成することができるのだと思います。

◆当事者意識を持つ
三木谷さんは、社員に当事者意識を持ってもらうことが重要であると言っています。経営者として、社員に当事者意識を持ってもらうために、楽天を自分の「家」と考えてもらい、社員に対して様々な取り組みを行っています。例えば、楽天では掃除は外部の会社に依頼するのではなく、自分達の手で掃除をしています。そのことにより、仕事場を自分の「家」と思い、同僚を「家族」と思う意識につながり、当事者意識を持つことができるとのことです。楽天は、ここ数年で急速に海外展開もしていますが、買収した企業に対しても、自分達の手で掃除を行うようにしています。また、日本で行っている「名札の着用」も社員に義務付けています。国、人種や価値観が異なったとしても、楽天が重要視している価値観を共有して、楽天という「家」に所属する一員として、当事者意識を高めることを徹底的に行っています。

私は「成功のコンセプト」を読んで、楽天はしっかりとしたコンセプトを持ち、社員が徹底的にそれを意識して実践できているからこそ、急成長をすることができたのだと実感しました。コンセプトは、当たり前の事で、誰もが意識し実践することができることです。しかし、社員が日々徹底して実践することはとても難しいと思いました。コンセプトを社員が意識して実践できるようになるために、会社を「家」と捉え、当事者意識を持つことができる取り組みは、とても素晴らしいと思いました。私も、日々の行動を見直し、当たり前のことかもしれませんができていないことを、徹底的に実践していきたいと思いました。