2012年7月1日日曜日

稲盛さんから学ぶ社員の意識改革とは

先週の6/28(木)にカンブリア宮殿というTV東京の番組で、稲盛 和夫さんが出演されていました。みなさんもご存じの通り、稲盛さんは、2010年から経営破たんをしたJALの再建に取り組み、わずか2年で業績を回復させました。JALは、今年再上場を申請しています。
再建を引き受けた直後、稲盛さんは、JALの社員について、
・高学歴で頭は良いが官僚的でプライドが高い
・お客様を大事にする、誠実に一生懸命仕事をするなど、人として大切な意識が足りない
・倒産したという事実すら認識が薄い
と言っていました。
このような難しい状態のJAL社員の意識を、稲盛さんは、どのように変えたのでしょうか?アメーバ経営で有名な「部門別採算制度」を導入したことにより、コスト意識と責任感を持たせたことも意識改革に大きな影響を与えたと思いますが、それ以外はどのようなことを行ったのでしょうか?

◆人間としての道徳観の浸透(リーダー教育)
稲盛さんは、まず幹部に対して、1ヵ月間(18回、1回3時間)、リーダー教育を実施したそうです。そこで行った内容は、人間として最低限必要な道徳観を繰り返し伝えたそうです。一見すると、内容は極めて当たり前のことでしたので、最初、JALの幹部の反応は、子供でも分かることをなぜ学ぶ必要があるのかと、反発していた人が多かったそうです。ただし、稲盛さんはリーダー教育のなかで、繰り返しあきらめずに伝えていったそうです。すると、頭では分かっていたが実践できていなかったのではないか、実践できていなかったことが倒産につながったのではないかと思う人が出てきたそうです。そして、リーダー教育で学んだことを自分のメンバーにも伝えたいと考える人が増え、現場にも浸透させていったそうです。現場に浸透させていく時は、現場の方(例えばキャビンアテンダント)は純情な方が多かったので、リーダー教育の内容の良さを実感して納得する人も多く、一気に社内のムードが良くなったとのことです。現在は、リーダー教育での学びを元に、自分達でJALとしての考え方・価値観をまとめた「JALフィロソフィー」を策定して、フィロソフィーが書かれた手帳を全社員に配布し、教育も自分達で行っているとのことです。
私は、この番組を見て、人間性とビジネスはとても深く関係性があると感じました。お客様のことを考え、誠実に・謙虚な気持ちで仕事をすることは、当たり前かもしれませんが、意識して実践することが大切だと思います。稲盛さんは、社員の意識を変えていくために、まずは道徳観を通して人間性を徹底的に繰り返し伝え、人として、仕事として何が大事なのか、どうしていきたいのか考えさせたのだと思います。「JALフィロソフィー」のなかで、自戒を込めて、「常に謙虚に素直な心で」を意識して仕事を行っていきたいと思いました。

◆経営方針・目的
稲盛さんは、会社の経営に関して、トップの一部だけではうまくいかず、全社員の心をつかみ、社員と気持ちを一緒にして協力してもらうことが必要だと言っています。そのために、経営の方針・目的については、「全従業員の物心両面の幸せ」を第一に考えているとのことです。そのことにより社員も一生懸命協力してくれるとのことです。

JALのホームページで企業理念として稲盛さんは、
「公明正大で、大義名分のある高い目的を掲げ、これを全社員で共有することで、目的に向かって全社員が一体感をもって力を合わせていくことができると考えています。
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客様に最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。」
と書かれています。

私は、このような経営方針・目的を明確にJALの社員に打ち出すことで、今後会社の方向性が分からなく不安ななか、社員は経営陣に対して安心感と信頼を寄せ、自ら意識を変え行動できたのではないかと思いました。そして、社員がJALを好きになり、JALで働いていることに誇りを持つことにより、お客様に最高のサービスを提供できるようになるのだと思います。

以上、番組を見て、社員の意識を変えていくためには、会社としての価値観や方針を明確にして、全社員に繰り返し伝え、共有していくことが重要だと感じました。その際には、一方的に伝えるのではなく、社員の信頼と納得を得て、自ら考えて行動ができるように伝えていくことが大切だと思いました。次回飛行機に乗る機会があれば、JALのサービスを体感してみたいと思いました。

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