2012年12月2日日曜日

分かりやすい文章を書くためには

文章を書くのは得意ですか?

私は今年からブログを書いていますが、分かりやすい文章を書くことの難しさをとても感じています。どのようなことを意識すれば、読み手にとって理解しやすい文書を書くことができるのでしょうか?

今回のブログでは、分かりやすい文章の書き方のヒントをご紹介します。実際に自分がアドバイスを受けて勉強になったことです。当たり前のことかもしれませんが、文章力に自信がない方は、参考にしていただければ幸いです。

①伝えたいメッセージを明確にする
「誰に」対して、「何を」伝えたいのかメッセージを明確にすることが重要です。
私はメッセージが明確でないまま文章を書いてしまうことがあります。このブログでも、本やテレビ番組など見たことを書いていますが、紹介するだけで何を伝えたいのか明確でない場合がありました。その場合、読み手から「結局何が言いたいの?」と疑問を持たれてしまったことがあります。

②文書の構成を考える
メッセージが明確になったら、何をどの順番で伝えるか、文章の全体構成を考えます。
構成を事前に考えずに書き始めてしまうと、いきあたりばったりでまとまった文章になりません。事前にペンと紙などで、文章の構成をしっかりと考えてから書き始めると良いでしょう。

③分かりやすく書く
メッセージと構成が決まったら実際に文章を書きます。文章を分かりやすく書くためには基本を押さえることが必要です。
例えば以下は、分かりやすく文章を書くためのコツの一例です。
・一文は簡潔に書く。不必要に長く書かない。
・一文に伝えたいことは一つにする。
・目的語を省略しない。
・同じ言葉や表現を繰り返さない。

④相手の立場に立って見直す
最後に、相手の立場に立って自分の文章を再度見直します。
分かりやすく書いたつもりでも、自分しか理解できない書き方になっている可能性があります。
例えば、以下を実践すると良いでしょう。
・はじめて読む人になりきって読んで分かりやすいか確認してみる。
・音読して自分の耳で聞いてみて、文章がおかしくないか確認する。
・誰かに読んでもらい、分かりやすいか意見をもらう。

以上、分かりやすい文書を書くためのヒントをご紹介しました。
文章力を身につけるためには継続して書くことが必要です。ぜひ試してください。
他にも分かりやすく文章を書くために、有効なことがあれば教えてください。

2012年11月25日日曜日

カウンセリングからの学び

先日、企業の社員に対してカウンセリングを行っている方とお話をする機会がありました。悩みを持った社員からの相談を行っているそうです。カウンセリングについてお話を聞くことができ、とても参考になりました。

その方はカウンセリングでは以下を意識しているとのことです。

◆相手の話を聴き、受け止める
カウンセラーが何かアドバイスをしてあげるのではなく、相手の話をひたすら聴き、受け止める。
◆相手は、自分で解決する力を持っていると信じる
カウンセラーが悩みを解決するのではなく、相手が自ら気付き、悩みを主体的に解決できるように援助する

私は企業に対して研修を行っていますが、研修を実施する際にもこの話はとても参考になると思いました。研修には仕事に前向きな受講者が常に参加するわけではありません。時には悩みを抱えている人も参加されます。このような受講者に対して前向きに取り組んでいただくことはとても難しいです。今まで、前向きでない受講者に対しては、アドバイスなどを通して、私自身が「受講者を前向きに変える」ことばかりを考えていたと思います。

例えば、ある会社の若手の方に研修を行った時の話です。受講者は、今後メンバーを持ち、チームで成果を上げることを会社から求められているステージにいました。研修は、個人プレーからチームで成果を出す意識を持ってもらう目的で実施しました。受講者は、仕事に慣れてきたことや、お客様からあまり褒められることがないという仕事の特徴もあり、モチベーションが下がっている人が大半でした。研修では、まずお互いの仕事での課題や悩みについて共有する場を持ちました。
そして次に、チームで成果を上げることの気づきを出す目的で、自分達が会社から求められていることは何か?を考える場を持ちました。しかし、なかなか期待する答えが返ってきません。私は、気付きが出てこない焦りから、受講者の話をしっかり聴くことができていませんでした。どのように「受講者を変える」のかばかり考えていました。そして、最終的に、「みなさんが会社から求められていることは、チームで成果を出す意識を持つことです。」と一方的に伝えてしまいました。
結果、受講者は講師から言われたことにより、理解はしてもらえたと思います。しかしながら、納得感は少なかったのではないかと後から考えて反省しました。私は、「相手の話を聴き、受け止める」こと、そして、「相手は、自分で解決する力を持っていると信じる」ということが意識できていなかったと感じています。

研修のなかで、受講者本人が自ら気付き、意識を変えたいと思うためには、まず講師が「相手の話を聴き、受け止める」こと、そして「相手は、自分で気付き、解決する力を持っていると信じる」ことがとても重要だと思いました。講師が話をしっかり受け止め、話をしながら自然と受講者が自ら気付いていくようなことができるようになりたいと思いました。人は、他人から言われたことよりも、自ら気付き納得したことのほうが、より主体的に行動をしていくと思います。講師は受講者が自ら気付くことができるために、最大限の支援をしていくことが大事だと改めて思いました。

2012年11月18日日曜日

中堅社員のモチベーションを上げるには?

先日、NHKの特報首都圏という番組で、「社員のやる気 どう引き出す?~苦悩する中堅社員~」という番組を見ました。
この番組では、中堅社員を5年目~40代前半(管理職一歩手前)までと定義していました。中堅社員は仕事の経験を積み、一人で成果を出せるようになっている段階です。会社からは、次のステップとして一人ではなくより多くの人を巻き込み、さらに大きな成果を出してほしい、後輩の育成をしてほしいなど大きな期待が寄せられていると思います。しかし、JTBモチベーションズの調査によると、最近中堅社員は他の層の社員と比べてモチベーションが著しく低下しているとのことです。なぜ、中堅社員のモチベーションが下がってきているのでしょうか?

理由としては、
・成熟した市場のなかで閉そく感があり、自身の目標を持ちにくくなっている
・仕事のマンネリ化により、面白みや自身の成長を見い出せなくなっている
・厳しい経済環境のなか、中堅社員には現場の中核として、より少ない人数で高い成果を出すことが期待されている。しかも、自身の成果だけでなく、後輩の育成も求められているため、プレッシャーが高く疲弊してしまっている
などが考えられると思います。

番組では、中堅社員のモチベーションを上げるためには、社員の「承認欲求」と「成長実感」がポイントであると言っています。参考になることもありましたので、ご紹介します。

◆承認欲求
人にはもともと周囲から「承認されたい」、「受け入れられたい」という欲求があります。社員は、会社から必要とされているという感じることにより、モチベーションが高くなるとのことです。これは、中堅社員だけに当てはまることではありません。新人や若手の時は、育成観点で上司から承認されることが多かったかもしれません。しかし、中堅社員は成果を出すことが当たり前になり、さらに高いレベルの業務を期待されることから、会社から承認される機会が少なっているのではないでしょうか?会社の業績を上げるためには、中堅社員に対しても意識して承認し、モチベーションを上げることがとても重要だと思いました。
番組では、看板広告をしている会社を紹介していました。この会社は、JTBモチベーションズが実施した「社員モチベーション調査」で、全国4000社の中で、1位の高得点をあげました。バブル崩壊後に業績が悪化して、社員の離職率も高かったとのことです。しかし、社員のモチベーションを高い状態にする取り組みを意識的に行ったことで、業績がV字回復したそうです。例えば、毎朝、社員同士がペアになって大きな声を出して3本勝負のジャンケンをしています。お互いが笑顔で声をかけあうことでコミュニケーションが活性化されるとのことです。また、毎朝社員同士、仕事の努力を感謝し合う「Thanks card」を送り合うこともしています。お互いに感謝し、承認し合うことで、自分が必要とされているという実感が湧き、モチベーションを高く持つことができるのだと思います。
私はこの例を見て、モチベーションは、ちょっとした取り組みだけでも高めることができるのだと思いました。またモチベーションは一人で高めるのではなく、チームで高め合うことが有効であることを感じました。

◆成長実感
自分自身が一歩一歩成長していると実感することで、モチベーションが高くなるとのことです。先ほどの看板会社では、会社に求められるスキルをすべて洗い出し、それぞれのスキルを表にして職場に貼りだしました。そして、それぞれのスキルに対して、社員一人ひとりが今どれくらいのレベルにあるのかをシールの色で分かるようにしました(例えば、そのスキルに関して、教えることができるレベルは「赤」のシール、知識を持っているだけのレベルは「青」など)。それぞれのスキルに関しての習熟度が上がるとともに、シールの色が変わります。自身の成長が、目に見えて分かることで、より達成感を感じることができるとのことです。特に中堅社員はマンネリ化する傾向にあり、自身の成長を実感する機会が少なくなってくるため、目この取り組みは有効だと思いました。
私はこの例を見て、それぞれの社員が自身の成長を目に見えて分かるようにすることで、モチベーションを高めることができると思いました。また、他の人にも自身のスキルの状態が共有されることによって、仕事のお願いや、サポートなどお互いに協力しやすくなると思いました。

以上、中堅社員のモチベーションを上げる取り組みについて書いてきました。その他の取り組みとして、自分達でも自社の今後のビジネスを考え、チャレンジできる機会を持つことも有効だと思いました。さらなる成長のために、現場のことだけでなく視野を広げ、市場や競合の状況、自社の戦略を理解し、今後の新しいビジネスを考えることで、モチベーションを高くできるのだと思いました。

2012年11月4日日曜日

消費者のための製品づくり

先週のブログに続き、先週の日曜日に放送されたNHKスペシャルの「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」の第2回、「復活への新戦略」を見ました。

番組では、中国の家電メーカーのハイアールを紹介していました。ハイアールの主要製品は冷蔵庫や洗濯機などの白物家電です。ハイアールは、2011年に、三洋電機から冷蔵庫と洗濯機事業を買収し、今では世界165ヵ国以上で生産・販売をして業績も伸ばしています。
番組で紹介されていたのは、7年前から赤字が続いていた三洋電機が経営していたタイ工場でした。しかし 三洋電機からハイアールに経営が移ったことで、去年から黒字になりました。番組では、タイ工場が黒字になった理由として、工場内の組織や社員の意識が変わったことが一番の理由だと伝えていましたが、どのように社員の意識が変わったのでしょうか?

◆消費者のための製品づくり
番組では三洋電機時代から工場長として働いていた方が登場していました。三洋電機の時は、工場では、生産のことだけを意識して製品をつくっていれば良かったそうです。しかし、ハイアールに経営が変わり、消費者を徹底的に意識した製品づくりをすることを求められました。工場長として、販売台数を増やすという目標達成も求められます。そのため、工場長は、現在の売れ筋情報や消費者の嗜好に敏感になり、自主的に量販的へ調査に出かけています。そして、販売台数を意識して、消費者を意識したデザインも考え、デザインの変更もしているそうです。
また、三洋電機の時は、工場に他の部門からの情報が入ってきていませんでしたが、現在は、販売や研究開発の情報なども共有されるようになったとのことです。そのことにより、工場だけの狭い視点だけでなく、会社全体として消費者のための製品づくりを考えることができるのだと思います。

お恥ずかしいことですが、正直ハイアールのことは良く知りませんでした。また、中国の企業はあまり消費者のことを考えたモノづくりをしていないのではないかと思っていました。しかし、ハイアールがここまで徹底的に消費者を意識した製品づくりをしていることに驚きました。代表の張さんは、松下幸之助さんや稲盛さんなど日本の経営者からビジネスを徹底的に学んでいます。日本が油断していた間、中国をはじめ、他のアジアの企業は日本から学んでいたのだと思います。

私は、番組を見て、社員は消費者のための製品づくりへの情熱を本来持っている人が多いのではないかと思いました。しかし三洋電機の時は、消費者のニーズは他の部門が考え、工場は生産だけを行っていました。そのため、社員の消費者に対する製品づくりへの情熱が薄れてしまったのだと思います。ハイアールが成功した理由の一つは、工場の社員にも消費者のことを考えてもらうことで、社員の情熱を引き出し、社員が主体的に行動できたことだと思います。

NHKスペシャルの「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」の第1回と第2回を見て、当たり前のことですが、消費者のための製品づくりを徹底し、社員の情熱を引き出し、社員が主体的に行動する組織をつくっていくことが大事だと思いました。今後の日本の家電メーカーの今後の成長を期待しています。

2012年10月30日火曜日

日本の逆襲はあるのか?

週末の2日間、NHKスペシャルで「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」をやっていましたね。興味深かったので、土曜日に放送した「第1回 岐路に立つ"日の丸家電"」を見ました。ここ数年、日本の家電メーカーは元気がない状態ですが、なぜここまで業績が悪化してしまったのでしょうか?番組では、今年からソニーの社長となった平井さんが登場していましたが、まずは「社員の意識を変える」ことが重要だと言っていました。日本のメーカーが、今後逆襲をするためにはどのように意識を変えていくことが大事なのでしょうか?

◆顧客が求める商品を開発する
日本の家電メーカーは、顧客が望む商品を開発していたのではなく、技術の向上に取り組むことを追求していたようです。機能を良くすれば顧客は商品を購入してくれると思い込んでいたのではないでしょうか。一方、アップルやサムスンは、顧客が求める商品は何かを徹底的に考えて商品を開発しているからこそ成長できているのだと思います。番組では、サムスンで10年間常務を勤めていた人が登場してきましたが、「技術で競い合うのではなく商品の魅力で競い合う」ことに拘ってきたと言っていました。日本のメーカーも顧客視点に立って商品を開発するというあたりまえのことを再度、意識していくことが大事だと思いました。

◆自前主義からの脱却
日本のメーカーは自社の技術だけで戦おうとしていたようです。例えば、シャープが2004年に稼働した亀山工場では、「ブラックボックス戦略」を採用していたとのことです。これは、工場内部を非公開にして技術が競合に漏れないようにし、独自の技術のみにこだわる戦略です。
一方、サムスンは異なる戦略で、自社の技術だけでなく、使える技術は積極的に他社から参考にしていました。取引する協力会社に工場を公開し、一緒に商品開発や工場の効率化などに取り組んでいたとのことです。自前だけの技術ではなく、幅広く他社からも最先端の技術を取り込むことで、競争力につながっていったのだと思います。

◆組織間の連携
ソニーの平井社長は世界中を回り、従業員に、「One Sony」という言葉をしきりに伝えていました。ここ数年は組織の縦割りの壁が強くなり、組織間の連携がなかったとのことです。平井社長は、今は商品開発をする上で、一つの部門だけでは顧客が求める商品を開発することができないと言っていました。顧客のニーズが複雑になり、顧客の求める画期的な商品を開発するためには、様々な部門からのアイデアが必要になってくるのだと思います。平井社長は、事業部の連携を強めるために横串でアイデアを出し合うプロジェクトをつくりあげました。それにより、テレビと音響の2つの事業部が手を組み、高画質で音質の良いテレビを開発するなど、組織間の連携強化の取り組みを始めています。

この番組を見て、日本の家電メーカーの業績が悪化してきたのは、今までの成功に囚われ、謙虚に周囲の意見を聞くことを怠ってきたことが原因の一つではないかと思いました。その間、他の国の競合メーカーは、顧客、他社、自社の他部門と密に対話をすることによって、顧客が求める商品を開発でき、成長してきたのではないでしょうか。

日本の家電メーカーも意識を変え、謙虚に周囲と対話をすることで、元気を取り戻してほしいと思っています。私自身も意識していきたいと思います。

2012年10月21日日曜日

国際人として必要な力とは?

昨日、NHKスペシャルの「シリーズ日本新生 "国際人"がニッポンを救う」を見ました。

現在、国際的に日本の競争力が低下してきています。20年前には、日本は「国際競争力ランキング」で1位でしたが、現在は24位にまで落ち込んでいます。競争力の低下の一つの要因としては、国際的に活躍できる人材が不足している点が挙げられると思います。今後、日本は"国際人"として、世界で活躍していくためには、どのような力を身につけていけば良いのでしょうか?

番組では、実際にグローバルでビジネスをしている方が、以下の発言をしていました。
・「国際的な企業活動では、国籍、人種、宗教、考え方など多様な中で行っていくことを認識することが非常に重要」
・「多様なグローバル環境でビジネスを行っていく場合は、10回失敗して 1回当たれば良いというマーケットがほとんど」
このような多様な環境のなかでは、答えのないことに対して、「自分で考えて、周囲に伝えて、実行していく力」が一番重要だと思いました。

日本人は特に、「自分で考えて意見を伝える」ことが一般的に弱いと思います。なぜなら、学校では知識を覚えることが評価され、自分で考えて発言する教育がほとんどされていないからです。

私は高校生の時に、アメリカに留学した経験がありますが、日本の教育との違いに驚いたことがあります。ある授業のテーマで「死刑制度」を扱いましたが、基本的に先生から教えてもらうのではなく、生徒が中心となって、賛成・反対か自分の意見を伝え合い、ディスカッションを行いました。それぞれ多様な考え方ぶつけ合うことで、テーマに対する関心が高まり、自分なりの意見を持つことの重要性を理解することができました。

スタジオで参加されていた京都大学客員准教授の瀧本哲史さんは、大学生に対して起業論の授業をされていますが、「答えがない事をみんなに議論させて、意見を出し合って、結局よく分からなかったという授業を行っている」と言っていました。先生が正解を教えてくれるのではなく、自分で考えることが重要だということを教えるのが教育で、"国際人"としても必要な力だと考えているとのことです。このような考え方を持ち、日々意識し実行し続けることで、「自分で考えて伝える」力が養われ、"国際人"としても通用する力が身についていくのだと思います。

私はこの番組を見て、一つ一つの仕事に対して丁寧に深く考え、周囲に納得してもらえるように伝えることを意識して行っていくことが大事だと改めて実感しました。

2012年10月14日日曜日

育児から学ぶ人材育成とは

私には、現在、もうすぐ2才4ヵ月になる息子がいます。「イヤイヤ期」「魔の2才児」という言葉がありますが、まさに息子がこの状態です。「おむつ変えない」、「服着ない」、「お風呂に入らない」、「保育園行かない」など、すべてに対して「イヤ」という状態です。「イヤイヤ期」の子供に対して親として、どのように接すれば良いのでしょうか?

昨日は妻が仕事で、私が子守をする日だったので、一緒にスイミングスクールに行きました。クラスが終わり、シャワーを浴びて着替えて帰ろうとしました。すると、いつものイヤイヤがはじまり、「おむつはかない」、「服着ない」と言って、ロッカーの中に入ったり、駆け回ったりして遊びはじめてしまいました。私は、「やめなさい!」、「おむつをはいて!」、「服を着て!」と何度も繰り返し伝えました。しかし、言うことを聞きません。「ママが家で待っているよ」、「帰ってごはんを食べよう」と誘ってみましたが、ダメです。しまいには、「言うことを聞かないと、プールにもう来ないよ」と脅してみたり、「パパはもう先に帰るよ。」と帰る振りをしましたが、まったく効果はありません。30分ぐらいこのやり取りが続きました。まったく言うことを聞かないので、最終手段として、嫌がって泣き叫んでいましたが、無理やりおむつとズボンをはかせました。しかし、またすべて脱いでしまい、床に寝そべって泣いていました。最終的には、1時間ぐらい疲れて途方に暮れていたところ、ようやく「自分で着る」と言って服を着て、帰ることができました。子守は本気でしたくないと思いました。

帰って妻に今日の出来事の話をしました。すると、妻は子供が「イヤ」と言っている時に、意識していることを教えてくれました。自分にとって、とても参考になったのでご紹介します。

◆理由を伝える
してもらいたいことを伝えるだけではなく、理由を伝えることが大事とのことです。私は理由を伝えず、してもらいたいことしか伝えていなかったことに気付きました。理由を伝えることで、なぜしなくてはいけないかを、子供でも理解できるので、妻はしっかり伝えるようにしているとのこと。それにより、してもらいやすくなるとのこと。例えば、服を着ない場合は、「服を着なさい」だけでなく、「風邪を引いちゃうから服を着ようね」と伝える。おもちゃを投げている場合、「おもちゃを投げない」だけではなく、「壊れてしまうと遊べなくなっちゃうから、おもちゃを投げないでね。」と伝えるようにしているとのこと。

◆分かりやすく具体的に伝える
子供が理解できるような言葉で分かりやすく具体的に伝える。例えば、食事中に椅子に立って食べている場合、「やめなさい!」、「何やってるの!」と言うのではなく、「椅子から落ちて怪我をするといけないので、ちゃんと座ろうね。」と具体的に伝えることを意識しているとのことです。

◆命令するのではなく、気持ちを伝える
「~しなさい」と命令するのではなく、「~してもらえるとうれしいな」、「~しないと悲しいな」と伝えることで、気持ちを理解してもらえるので、自ら行動をしようと思いやすくなるとのことです。確かに、妻が怒っている時は、「ごめんね」と言ったり、妻が落ち込んでいる時は「ママ大丈夫?」など、最近は人の気持ちも分かるようになってきているので、気持ちを伝えることが効果的かもしれないと思いました。

◆子供と真剣に向き合う
妻は、子供に伝えたい時は、子供と同じ高さの目線で、両手を握って伝えています。子供と向き合い、真剣に伝えることが大切とのことです。自分を振り返ると、真剣に子供と向き合って伝えていなかったと反省しました。言うべきことを言っていただけで、子供に伝えていませんでした。この姿勢では子供にも伝わらないと思います。私は、子供に伝える時は、この「真剣に向き合う」姿勢が一番大事だと思いました。

以上は、当たり前のことかもしれませんが、つい子供を目の前にして感情的になってしまうと、忘れがちになってしまうことだと思います。これからは、以上のことを意識して子供と接していこうと思いました。すぐには話しを聞いてくれないかもしれませんが、根気良く接していくことが大事だと思いました。

ぜひ、先輩方で、イヤイヤ期の子供に対しての接し方に関して、効果的なことがあれば、教えていただけると嬉しいです。

また、今回は子供に対しての接し方について書いてきましたが、以上のことは、仕事で部下やメンバーに対して育成をする時でも同じように重要なことだと思いました。仕事でも、育成で一番重要なことは、「相手と真剣に向き合う」ことではないでしょうか。なぜなら、部下やメンバーは、上司が真剣に自分と向き合ってくれることで嬉しく感じ、期待に応えたいと自ら主体的に行動すると思います。それによって、成長につながると思います。

2012年10月7日日曜日

「強いチーム」に一番必要なことは「信頼関係」

あなたが所属しているチームは「強いチーム」と言えますか?

現在のビジネスが多様化し、スピードが求められる状況では、1人の強いリーダーがメンバーを動かし成果を出すことは難しい状況になっていると思います。現在求められているのは、リーダー1人がメンバーを動かして成果を出すのではなく、メンバーが自ら考え行動しお互いに協力し合いながら「チーム」として成果を出すことだと私は思います。

「強いチーム」とは、「ある目的や目標を決められた時間内に達成することができるチーム」です。強いチームは、個人が持っている力を「1」とすると、個人が持っている力(「1」)の総和(1+1=2)よりも、より大きな成果(1+1>2)を出すことができると良く言われます。では、どのようにすれば強いチームをつくることができるでしょうか?

私は、強いチームをつくるために一番大事なことは、「信頼関係」だと思っています。なぜなら「信頼関係」があることで、目標達成に向けてお互いに一番協力し合うことができるからです。信頼の意味は、辞書では「信じて頼りにすること。頼りになると信じること。また、その気持ち。」とのことです。私は、信頼関係とは「お互いに目標を達成するために、責任を持ってやり遂げる・やり遂げてくれるとお互いに信じ合えている関係性」だと思います。信頼関係は、同じ目標に本気で取り組むことででしか生まれないと思っています。

私は企業に対して、チームワークの研修も行っています。
例えば、
・一つの部門・課に対して、チームとして成果を出す意識を高める
・新しくプロジェクトが始まる前に、人となりを知り、関係性を強化する
・中堅社員や全社員向けに職種・部門を越えた横への連携強化の意識を高める
などを行っています。

チームワークの研修には、アクティビティ(体を動かしながらチームで目標や問題解決に取り組む活動・ゲーム)を取り入れて行っています。なぜなら、アクティビティを利用しチームで目標に本気で取り組む体験を行うことで、お互いに信頼関係を築くことができるからです。
アクティビティでは、チームで本気で取り組んでもらうために、様々な仕掛けを設定しています。
・アクティビティ自体が面白く、がんばれば達成できるくらいの難易度に設定して、やりたいと思ってもらうような内容にする
・目標達成に対して連帯責任にすることで、全員がコミットしなければいけない設定にする
・最初は簡単に達成できるアクティビティで成功体験を積みながら本気度を上げていき、少しずつ難しいアクティビティを行っていく設定にする

参加者は目標に本気で取り組んでいく体験を通して、信頼関係を築き、「強いチーム」になっていきます。

そして、最後に研修での学びを仕事に活かすために、仕事の場でもチームとして成果を出していくために、自分や自分達はどのように行動していくかを考えていきます。過去にチームワーク研修を受けた参加者の方から、「仕事でも、自分達のチームだったらどんなに難しい目標でも達成できると思います。」と力強く言っていただいた言葉がとても印象に残っています。この状態で仕事でも目標達成に向けて取り組み続けることができれば、これこそが「強いチーム」だと言えると思いました。

2012年9月30日日曜日

アクティビティを取り入れた研修の特徴

私は主に企業に対して研修の講師をしていますが、リーダーシップやチームワークの研修では、アクティビティを取り入れて研修を行うこともあります。アクティビティとは、主に「体を動かしながらチームで目標や問題解決に取り組む活動(ゲーム)」のことを言います。今回は、アクティビティを利用した研修の特徴を紹介します。

◆短時間に他の参加者と深い関係性を築くことができる
研修でアクティビティを取り入れることにより、短時間でお互いの距離を近づけ、本音で話せる関係性を築くことができます。なぜなら、アクティビティで同じ目標に向けて議論を重ね、一生懸命に取り組む共通体験をすることで、仲間意識・信頼関係が生まれやすくなるからです。それにより、研修では、表面的ではなく本音で話をすることができ、より深い議論とアウトプットを出すことができます。

◆チームワークやリーダーとして必要な要素を学ぶことができる
アクティビティを行った後、必ず振り返りを行います。振り返りを行わないと、楽しかったという感想で終わってしまいます。振り返りでは、成功・失敗した原因(プロセスや、お互いの関係性、リーダーとしての行動など)にフォーカスして話をします。そこから、チームとして成果を出すために必要な要素や、リーダーとして求められる行動を学びます。そして、アクティビティから学んだチームワークやリーダーシップについては、職場でも応用することができます。なぜなら、チームで目標を達成するために必要なチームワークやリーダーとして必要な要素は、ゲームでも職場でも共通するところが多くあるからです。振り返りでは、アクティビティからの学びから仕事にどのように応用するか、お互いにアイデアを出し合うことで、仕事での行動につなげていきます。

◆自身の強みと弱みに気付く
アクティビティは、ゲーム感覚で構えずに行うため、普段の思考や癖(「素」の自分)が出やすくなります。そのため、振り返りで他の受講者や講師からフィードバックを受けることで、自身の強みと弱みを認識することができます。アクティビティで同じ目標に向かって一緒に取り組んだメンバーからの意見のため、フィードバックは納得感を持って受け入れることができます。また、自身が取った姿勢や行動が、アクティビティの成果(成功・失敗)に反映されやすいため、自身の姿勢や行動の良し悪しについて振り返ることができます。

以上、アクティビティを取り入れた研修の特徴をご紹介しました。アクティビティは、リーダーシップやチームワークの研修ではとても有効な手法です。なぜなら、アクティビティで学ぶことで、目に見えないリーダーシップやチームワークに関して、実感値を持って納得することができ、行動変容につながりやすいためです。

しかしながら、アクティビティからの気づきだけでは、仕事での具体的な行動を考えるのは難しいと思います。従って、仕事での具体的な行動を考えるために、「アクティビティ」と共に、「ビジネスケース」を使って行うことが重要です。それにより、アクティビティから学んだ行動や姿勢を、仕事の場で実践する具体的な行動として考えることができます。

2012年9月24日月曜日

仕事のなかで人を育てるには

みなさんにとって仕事とは何でしょうか?お金を稼ぐ手段、趣味などいろいろあると思いますが、私は、「自身を成長させる場」だと思っています。なぜなら、社会に価値を提供するために、努力をして新しい知識やできることを増やしていくことができるからです。
NHKのプロフェッショナルで、「仕事こそが、人を育てる」というタイトルに惹かれ、2007年に放送された南場智子さんの放送を見ました。南場さんは、株式会社ディー・エヌ・エーを1999年に設立して、12年間代表として会社を成長させ、2011年に療養中の夫の看病に力を注ぐため代表を退任し、取締役になりました。南場さんは、社員5人からスタートしたディー・エヌ・エーを、今では約2000名の会社に成長させました。南場さんは、経営者の仕事は、「強い組織・人材をつくること」と言って、様々な取り組みをしています。「仕事こそが、人を育てる」とのことです。南場さんは、仕事のなかで、どのように強い組織・人を育てる取り組みを行っているのでしょうか?

◆成功体験の機会を与える
南場さんは、苦しみを乗り越えて成功体験をすることで人が育つ。成功体験を積める機会を提供することが重要だと言っています。社員に、一歩大きなこと、難しいことを任せます。会社としては、社員には毎回同じことをさせたほうがリスクはありませんが、成長しません。例えば、番組では、社内で新規ビジネスに関して社員から企画を募集するプロジェクトを紹介していました、ゼロから企画を立ち上げさせて、社内で議論を重ねて練り上げる機会をつくることで、成長させる機会をつくっています。番組では、ネットで保険の営業とユーザーを結びつける企画を考えた人を紹介していました。彼は、2年前に自らの企画で新規ビジネスプロジェクトを立ち上げました。しかし、プロジェクトは2億円の目標を掲げてスタートしましたが、結局は1千万円にも届かず、失敗してプロジェクトは終了してしまいました。南場さんは、彼に成功体験を積ませることが必要だと考えて、企画に対して積極的にアドバイスや、個人的に相談に乗るなどしていて、忙しいなか、人の成長を真剣に支援する姿勢にはとても共感しました。

◆経営者が一番前のめり
南場さんは、新しい企画を考えた社員と話をする時に、少しでも面白い点があれば、企画を考えた社員以上に前のめりになることを意識しているそうです。企画を考えた社員に、企画の面白さを伝え、実現させるためにどうすればよいかを一緒に考えることで、社員のやる気を高めています。社員は、「この人のためなら仕事をがんばろうと思える」、「社員を牽引していくオーラを持っている」と発言をしていました。私は、リーダーは、この人のために仕事をしたいと社員に思ってもらうこともとても重要だと感じました。

◆大黒柱だから抜く
インターネットの業界はスピードが早いため、市場の環境変化に合わせて頻繁に組織も変えていったそうです。人事異動については、南場さんがすべて権限を持つようにしています。なぜなら現場は業績を上げるために、仕事ができる大黒柱を中心に仕事を行い、周囲のメンバーが育たないからだそうです。南場さんは、新規プロジェクトが立ち上がる時など、あえてそれぞれの部署の大黒柱を引き抜きます。現場のリーダー達から抵抗されることが多いとのことです。しかし、大黒柱を失うことで、他の現場社員は危機感を感じて、がんばることで次の大黒柱が育ってくるという信念を持ち、リーダー達と本人を説得して異動してもらうとのことです。
大黒柱がいることで他の人は頼ってしまい、能力を発揮できてないとすると、とてももったいないと思いました。大黒柱が抜けた分を補うために、残された社員達は、それぞれが危機感を持ち努力することで、成長していくのだと思います。

南場さんは経営者として、「強い組織・人材をつくる」ために、様々な取り組みを紹介しました。社員一人一人が主体的に行動し、チャレンジしていける場を意識して創り出していると思いました。ディー・エヌ・エーの組織の基本理念は、南場さんの考え方を表していると思いました。
ディー・エヌ・エーの組織の基本理念「球」とのことです。ホームページでは、
・球の組織
DeNAの組織の基本理念は「球」です。社長を頂点とするピラミッドではなく、ひとりひとりが表面積を担う球のイメージです。誰も他の人の影に隠れることはなく、新米社員も含め、必ずDeNAを代表するフィールド(表面積)を持ってもらいます。
・成長=より大きな表面積を担うこと
「球」の組織におけるメンバーの成長とは、各自が自らの責任を全うし、より大きなフィールドを担うようになることです。多様な個性を持ったメンバーが表面積を広げることが、「球」の拡大、すなわち、DeNAが社会に与えるインパクトの拡大につながります。と書かれています。
一人一人が会社の代表としての意識と責任感を持ち、常にチャレンジして能力を発揮していくことで、組織が強く・大きくなっていくのだと思います。
私は今回のブログから、自身を成長させるために、常に一歩大きなこと、難しいことに挑戦していくことが大事だと改めて感じました。新しいことに一歩踏み出すことは、躊躇してしまう気持ちもありますが、自身を成長させるためにはとても重要なことだと思います。

2012年9月16日日曜日

顧客に幸せを届け感動を生み出す会社とは

みなさんは、インターネットで買い物をしたことがありますか?私は本の購入やプレゼントなどの購入でよく利用しています。
少し前になりますが、音楽、動画、ゲームなどを購入できるサービスを行っているサイトで、大変困ったことが起きました。そのサイトで、他人に自分の口座を乗っ取られてしまい、勝手にゲームを購入されてしまいました。このようなことは初めてで、とても不安になりました。そして、すぐに電話で状況の確認をしたいと思いました。しかし、このサイトを運営している会社は、メールでの問い合わせしか行っていませんでした。状況を説明し、どのようにしたら良いかメールをしたところ、3日後にメールが返信されて来ました。
返信内容としては、
・口座を一時的に無効にし、クレジットカードを使用できないようにした
・購入履歴を調べて注文番号を送ってもらえれば調査する
とのことでした。
返信までの3日間は、とても不安な日々を送ることになってしまいました。その後、購入履歴を調べて、何度かメールでやり取りをしました。しかし、私の聞き方も良くなかったのですが、返信をもらうまで時間がかかり、期待していた返信もされず、疲れてしまいました。結局、登録されていたはずの私のクレジットカード番号が、他人のカード番号に書きかえられていたため、購入されたゲーム料金の支払いはしなくても良いことが分かり、ほっとしました。しかし、今回のサポートの対応で不信感を持ってしまい、このサイトを利用したい気持ちが薄れてしまいました。

オンラインで商品を販売している会社は、電話の受付をしていないところや電話対応していてもホームページ上で、電話番号が分かりづらいところに記載している会社が多いのではないでしょうか。オンラインでサービスを提供しているため、電話ではなく、メールなどオンラインのみで顧客と連絡を取り合うのは当然かもしれません。または、電話対応をすることで人件費などコストがかかってしまうので、積極的には行っていないのかもしれません。しかしながら、すべてオンラインだけで顧客に満足したサービスを提供できるのでしょうか?

このような疑問を持ちながら、インターネットで靴の販売をメインで行っているアメリカの「ザッポス」という会社を知りました。はじめて知った時は、靴は試着が必要なのに、オンラインで売るのは無理ではないかと思いました。しかし、ザッポスは、創業してから10年で10万ドルを超える売上を実現して,オンラインシューズ市場で30%を超えるトップシェアになり、ビジネスとしては成功しているようです。
ザッポスのサービスとしては、
・靴を注文して、サイズが合わなかった場合は、1年間まで無料返品可能(無料返品サービスをはじめて導入した会社だそうです)
・送料、返送料金は無料
・原則として注文を受けてから翌日には到着
・24時間の365日無休のコンタクトセンター
など様々なサービスを行っています。

ザッポスが行っているサービスのなかで、私がなによりも素晴らしいと感じたのは、ホームページの一番上にフリーダイヤルが掲載されていて、購入やサポートの対応で、積極的に顧客と電話で話をすることです。ザッポスは、顧客との電話を最高の営業の機会と考え、「顧客に幸せを届け、感動を生み出す」ことに最大限の力を注いでいます。電話の対応に対しては、マニュアルがなく顧客に感動を与えることであれば、ほぼ何でも行っても良い裁量が与えられているとのことです。そのため、評価は通常、コンタクトセンターの基準である「売上」や「対応件数」、「平均処理時間」はなく、顧客にどれだけ感動を与えられたかで決まるとのことです。
例えば、有名なエピソードをご紹介すると、
・ある顧客が母親のためにザッポスから靴を購入しましたが、母親が亡くなってしまったため返品する旨をザッポスに伝えました。その話を聞いたザッポスの社員は、宅配業者を自宅まで派遣して靴を回収するように手配したとのことです(通常であれば、顧客が集配所までもっていかなければいけない)。そして、翌日には手書のメッセージでお悔やみの手紙と花束が届けられたとのこと。顧客は感動してザッポスのファンになったとのことです。
・顧客が求める靴をザッポスが取り扱いをしてない場合や、在庫が切れている場合は、その靴を取り扱っている他社サイトを最低3社紹介してきたそうです。
・ザッポスの顧客サービスの噂を聞いたある人が、試すつもり電話をして、ピザの注文を頼んだら、わざわざ近くのピザ屋さんの連絡先を調べて紹介してくれたとの話もあります。
これらのサービスによって、75%の顧客がリピーターになっているとのことです。私は、正直ザッポスがここまでサービスをしていることに驚きました。しかし、ここまで顧客に感動するサービスを徹底的に提供するからこそ、顧客の心を鷲掴みにして、高いリピート率につなげることができているのだと、納得しました。

ザッポスがビジネスを成功させている理由の一つとしては、会社を「靴を販売する会社」ではなく、「顧客に最高のサービスを提供する会社」と位置付けたこと。そして、それを達成するために、社員自ら会社の「Core Value(中核となる価値観。例えば、「Core Value」の一つ目は、「Deliver WOW Through Service(サービスを通してWOWを届ける)」を明確にして、採用、育成、評価などの仕組みをつくり、徹底的こだわり日々実践しているところだそうです。

今後、ITの技術がますます進化し、オンラインでサービスを行っている会社は、より便利で新しいサービスを、効率的に行っていくことを追求していくことは当然必要です。それと同時に、顧客に感動を与えるサービスを高めることも重要だと思います。なぜなら、技術やサービスは比較的容易に真似をされてしまい、差別化を維持するのは難しいからです。他社と差別化していくためには、時間がかかると思いますが、顧客に感動を与えることができる人材を育て、顧客に期待以上のサービスを提供することで、ファンを獲得しリピートをしてもらえるようになると思いました。

2012年9月9日日曜日

ディズニーのホスピタリティとは

みなさんは、ディズニーランドやディズニーシーには行ったことはありますか?2つの施設では、年間2500万人以上の来場者があり、9割以上がリピーターだそうです。すごいですね。ディズニーは、施設をステージのショーととらえ、従業員のことをショーに出演する「キャスト」、お客様をショーに参加する「ゲスト」と呼んでいるそうです。私はそれぞれ3回遊びに行ったことがありますが、キャストはいつも笑顔で、とても楽しそうに仕事をしています。ゲストを楽しませ、親切に対応する姿勢にはとても感心しています。東日本大震災の非常事態の時でさえも、キャストはゲストのことを第一に考え、冷静に対応したことでパニックにならなかったそうです。また、ゲストに対して自らの判断で行動をしていたキャストが多かったそうです。あるキャストは、販売していたぬいぐるみを防災ズキンの代わりにゲストに配っていたそうです。またあるキャストは、ゲストがお腹をすかせていると考え、店舗で販売していたチョコやクッキーを無償で配布したそうです。キャストは自身の安全や、家族・友人のことなど心配だったと思いますが、ゲストを最優先で考えて行動していたことはとても素晴らしいことだと思います。ディズニーでは、なぜキャストがゲストのことを一番に考えて行動することができるのでしょうか?

「9割がバイトでも最高の感動が生まれる ディズニーのホスピタリティ」という本を読みました。この本では、ディズニーが30年近く愛されてきた理由として「ホスピタリティ」がポイントだと言っています。この本では、「ホスピタリティ」と「サービス」には違いがあると言っています。「ホスピタリティ」とは、「相手に対する主体的な思いやり」と定義し、「自ら相手の気持ちになって、相手の立場に立って、共に考えてあげる気持ち・心・言動」のこと。「サービス」とは、「お客様に対して履行しなければいけないこと」です。ゲストに予想外の感動を与えてリピーターになってもらうためには、「サービス」だけでは足りず、「ホスピタリティ」が必要とのことです。しかしながら、「サービス」は、接客の手順などマニュアルにできますが、「ホスピタリティ」は、マニュアルにできないとのことです。目の前のゲストが今どんな気持ちで、どのように接すれば喜んでもらえるかは確かにマニュアルにはできません。ディズニーのキャストは目の前のゲストに対して、自分なりに考えて「ホスピタリティ」を実践しているとのことです。

この本では、「ホスピタリティ」を実践できるキャストをディズニーがどのように育成しているか、考え方が書かれていますので、紹介します。

◆「ミッション」と「行動指針」の共有
ディズニーでは、「ミッション」と「行動指針」が明確にあり、キャストに徹底的に伝えています。「ミッション」とは、その組織がめざすべき方向性のことで、組織の存在意義です。ディズニーの「ミッション」は、「すべてのゲストにハピネスを提供する」です。このミッションを全員に共有し、繰り返し伝えていくことにより、キャストは自然に「ゲストのために」という「ホスピタリティ」が自然に芽生えてくるそうです。
そして、「行動指針」とは、「ミッション」を達成するために、どのように考え、どのように行動するかの基本となる方針のことです。
ディズニーの「行動指針」は、英語の頭文字を取って「SCSE」と呼ばれます。「安全性(Safety)」「礼儀正しさ(Courtesy)」「ショー(Show)」「効率(Efficiency)」で、キャストは、この優先順位で行動することが求められます。
「安全性(Safety)」:ゲストにハピネスになってもらうためには、まずは「安全」を最優先させます。怪我などしてまったら、楽しい思い出が一瞬でなくなってしまいます。
「礼儀正しさ(Courtesy)」:すべてのゲストはVIPだと考え対応します。親しみやすい礼儀正しさを求め、笑顔、挨拶、アイコンタクト、身だしなみをきれいにすることを実践します
「ショー(Show)」:園内を舞台と考え、「オンステージ」と呼び、オンステージ上のすべてを「ショー」としてとらえ、すべてのゲストに素晴らしい体験をしていただくことを重要視します。
「効率(Efficiency)」:安全、礼儀正しさ、ショーを心掛けた上で、チームワークを発揮することで効率を高めます。お互いに助け合うことで、「ホスピタリティ」をゲストだけでなく、キャスト同士実践することを求めています。
行動指針もキャストに繰り返し伝えることで、キャストはお客様を目の前にしてどのような行動をすれば良いのか判断でき、実践できるのだと思います。

◆現場で実践できるための仕組み
上司や先輩が、キャストに積極的に声をかけ、キャストの接客に対してフィードバックやアドバイスをして、フォローをするそうです。それによって、「ミッション」と「行動指針」を具体的に現場でどのような行動をすれば良いのか学ぶことができます。また、キャストは、上司や先輩が自分のことを見てくれている、認めてくれていると感じ、さらに主体的・自主的に仕事に取り組むようになるとのことです。
また、ディズニーには、日頃からキャストの主体的・自主的な行動を許す風土があるとのことです。ミッションと行動指針に沿って、ゲストに喜んでもらえることを自ら考えて行動することを推奨しています。上司や先輩から言われて行動するよりも、自ら考えて行動したことに対してゲストから喜んでもらえることで、達成感や喜びを感じ、さらに自ら工夫して取り組もうとしようとするのではないでしょうか。


多くの会社では、顧客満足を第一に考えて行動するように社員に伝えていると思います。しかしながら、社員が自ら主体的に実践できている会社は多くないと思います。私はディズニーのキャストがゲストを最優先に考えて行動できている一番の理由は、「キャストの主体的な行動を許す風土」と「上司や先輩からのフィードバックやアドバイス」が大きいと思いました。なぜなら、会社から言われたことだけをするのではなく、自ら考えて行動したことが直接顧客満足につながることで、達成感を感じ、自信を持てるからです。自信を持ったキャストは、さらに自ら考えお客様に喜んでもらうために主体的に行動するのだと思います。また、「上司や先輩からのフィードバックやアドバイス」を随時行うことで、成功体験を積ませたり、さらに高い顧客満足を促進することも重要だと思います。

「ホスピタリティ」を実践できる社員を育てるためには、「主体的・自主的な行動を許す風土」と「上司・先輩からのサポート」が重要だと思いました。

2012年9月2日日曜日

現場の力を最大限に引き出して成果を出すリーダーとは

8/20に放送されたNHKプロフェッショナル仕事の流儀を見ました。今回は、日本レストランエンタープライズというJR東日本グループの外食企業に勤めている大宮営業所所長の三浦由紀江さんでした。専業主婦をずっとされていたそうですが、44才の時にパート社員として働き始めると、担当する売り場の売り上げが急上昇し、53才で営業所長に抜擢されたそうです。現在、JR大宮駅構内の売店など9つの主に駅弁を扱う店舗を管理し、店舗のパート社員から、事務所の正社員など100人以上の部下を統括しています。三浦さんが所長になってから営業所で初めて売上を10億円以上にするなど素晴らしい成果を上げています。

しかし、営業所長になったころは、部下からはパート上がりになにができるのかと言われ、部下達は積極的に仕事をしない状況でとても辛い状況が続いたとのことです。その状態の時に、上司から「自分の得意なところから始めればいい」と言われ、リーダーとして無理な背伸びをしていたのではないかと気付いたとのことです。苦手なパソコンは自分でなんとかせずに、部下に助けてほしい素直にお願いする、その代わりに得意な販売に力を入れるなどを行いました。また、怒るのをやめ どんな小さなこともほめて感謝することに決めたとのことです。組織の中で人を育てるのは、子育てと同じで、「人のいいところを見つけ、そこを伸ばす」ということの重要性に気付いたとのことです。

それから、三浦さんは所長として部下に対して、以下を意識して行動するようになりました。

◆声をかける
三浦さんは部下に対して、「一番大事なのは声をかけること」と言っています。なぜなら自分がパート社員の時に声をかけられたらうれしかったからとのことです。出勤した日は駅の店舗に必ず立ち寄り声をかけ、店員の体調や仕事への意欲が下がっていないか確認しているとのことです。意欲が下がっている店員に対しては、さりげなく声をかけて相談に乗っています。部下の立場では、リーダーが自分のことをちゃんと見てくれている、気遣ってくれているといるだけでうれしく、リーダーのためにがんばろうと思うのではないでしょうか。三浦さんは、店舗の社員の方に声をかける時に、「今日は商品がきれいに並んでいますね。さすが〇〇さんだから。」と声をかけていました。部下に対しては、「ほめる時には事柄ではなく人柄をほめる」、「叱る時は人柄ではなく、事柄を叱る」とよく聞きますが、三浦さんは意識して「部下の人柄」をほめているのだと思います。事柄ではなく、人柄をほめられることで人として自分自身を認めてくれたとうれしさを感じ、もっとがんばろうと思えるのではないでしょうか。

◆任せる
店舗でのお弁当は80種類ほどあり、日によって1000~2000個と発注する数に幅があるそうです。売れ残れば利益が減るため、発注する弁当の数をいかに的確に発注できるかがポイントとなります。以前は、事務所の社員がすべて発注していたそうですが、三浦さんは、弁当の発注を売り場の店員に任せる仕組みに変更しました。なぜなら、店舗の社員は毎日お客様のことを考えているため、現場が一番分かっているからとのことです。店舗の社員は、三浦さんに指示をされたことをするのではなく、「余らせても足りなくても責任はこっちで取るから思うようにやってごらん」と言われて行動しているそうです。店舗の社員は、仕事を任されたことに対して責任感と誇りを持ち、自分で考えて行動することができることで、やりがいを持って取り組むことができるのではないでしょうか。

◆成功させる
三浦さんの部下で、鉄道博物館の店舗の支配人がいました。彼はアルバイトで入社して、真面目な働きが認められて社員になり、現在は支配人にまでなりました。彼は真面目な性格ですが、自信を持って自分の意見を伝えることができないという課題がありました。以前、新しい弁当の開発を支配人と三浦さん、そして弁当の老舗メーカーの担当者とで行いました。その時に、彼は、100年を越える老舗メーカーの担当者を前に気後れしてしまい、自分の意見を伝えることができませんでした。三浦さんは、支配人には自信を持って自分の意見を伝えられ、楽しく仕事をしてほしいと考えました。そのためは成功体験を一つ積ませることで、自信の芽を出すことが重要だと考えました。そこで、再度新しい弁当の企画を支配人と三浦さん、そして弁当の老舗メーカーの担当者と行う機会を設けました。その時に、三浦さんは支配人が自分から意見を言えるまで待ったり、意見を促したりしていました。三浦さんの関わりで、支配人は自ら意見を伝えることができ、弁当の企画にその意見が採用されました。新しい弁当ができた時に、三浦さんの計らいで、開発した弁当に支配人の名前が加えられました。発売日当日には三浦さんも現場に立ち、弁当を売り、お客様の反応が良いことを支配人に随時伝えていました。結局、お弁当は完売して大成功だったとのことです。
リーダーは「任せる」ことも重要ですが、部下が成功するまでにサポートをすることが重要だと思いました。部下は仕事を任せてもらい、成功体験を得ることができれば、自信を持ち、高い成果を出すことができると思います。

今回のプロフェッショナルを見て、三浦さんは、現場の力を最大限に引き出して成果を出すリーダーだと思いました。社員一人一人が自分らしさを最大限出し、自信を持って仕事をすることで、高い成果を出せる組織になると思います。三浦さんは、働くこととは何かという質問に対して、「働くことは楽しむこと、楽しんでいる人には誰もかなわない」と言っています。三浦さんは自分自身も「楽しむ」ことを意識していますが、同時に部下が「働くことを楽しむ」ことができるように、リーダーとして意識して行動していると感じました。

2012年8月26日日曜日

「体感型ワーク」で、リーダーとしての強み・弱みを認識する

リーダーとして成長していくためには、常に自身の強み・弱みを把握し、行動を変えていくことが重要だと思います。自身の強み・弱みは、なかなか自分で気付くことは難しいと思います。有効な方法としては、現在リーダーの方は、仕事のなかで、メンバーから、実際に自身が取っている行動に対してフィードバックをもらうことです。フィードバックをもらうことで、自分では気付かなかった強み・弱みを理解して行動を変えることができます。
しかしながら、仕事の中で、メンバーがリーダーに対して率直なフィードバックを伝えるのは言いづらく、メンバー自身の評価を悪くしてしまう可能性があり難しいと思います。また仕事で忙しく、なかなかフィードバックを受けている時間をつくること自体が難しいと思います。また今後リーダーになる方に関しては、仕事のなかで自身がリーダーになる経験を持ち、メンバーにフィードバックをもらう機会を持つことが少なく、今後リーダーとして成長していくために自身の成長ポイントを理解することが難しいと思います。

リーダーとして成長していくためには、仕事のなかで自身の強み・弱みを認識でき、行動していける仕組みをつくることが大事ですが、研修を通して自身のリーダー行動を振り返るという方法もあります。世の中には多くのリーダーシップ研修があると思いますが、一つの方法として自身を振り返り、強み・弱みを認識するために、「体験型ワーク」という手法を取り入れた研修はとても有効です。「体験型ワーク」とは、体を動かしながらチームで目標に取り組むゲームを行い、リーダーやチームとしてのあり方を学ぶ手法です。ゲームでは、リーダーとメンバー役に分かれます。そしてゲームの後に、必ずメンバーからリーダーにフィードバックをする時間を持ちます。そこで、リーダーは自身が取った行動に対して良かった点、改善点のフィードバックを受けることで、強み・弱みを認識することができます。

先週、リーダーシップのセミナーでこの「体験型ワーク」を取り入れて実施しました。セミナーで実施したゲームは、リーダーを一人決め、チームで、制限時間以内にある物を3つ積み上げて塔を立てるというものです。その際、メンバーに目隠しをしてもらい、講師からリーダーのみにゲームのゴールを説明します。メンバーは目が見えず、ゴールを分かっていないため、リーダーとしてメンバーにいかにゴールを伝え、メンバーに行動してもらえるのかを実践します。

今回のセミナーでは、ゲームのリーダーにAさんとBさんが立候補しました。ゲームを行ってみて、それぞれのリーダーとしての強みと弱みが対照的でした。

Aさんは、ゴールを分かりやすく明確に伝えていました。また、随時途中経過や、今後どのような手順で物を積み上げていくのか説明していました。しかし、Aさんはメンバーに対して指示を伝えていましたが、指示が一方向になっていて、メンバーからの発言は少ない状態でした。ゲームが終わった後のメンバーからリーダーにフィードバックをしました。良かった点として、ゴールと途中経過を明確に説明したことで、メンバーはこれからどのような行動をすれば良いのかイメージしやすかったという意見がありました。一方、改善点として、リーダーの焦りがメンバーに伝わり、自分も焦ってしまった。一方的な指示が多く、分かりづらい時に聞きづらく不安だったという意見がありました。Aさんは、メンバーのフィードバックの後、目標を達成したいという気持ちで焦ってしまい、メンバーの気持ちをまったく考えていなかったことに気付いたとのことです。普段の仕事でもリーダーとして、目標や途中経過を明確にメンバーに随時伝えているそうですが、時間がないなか目標達成を意識し過ぎると相手の立場や気持ちを考えずに指示ばかりして、相手のやる気を下げていたかもしれないことに気付きました。

Bさんは、ゴールの説明をしましたが明確に伝えず、途中経過もをほとんど伝えていませんでした。しかし、メンバーに対して、うまくできた時は盛り上げるなど、チームの雰囲気はとても良く、メンバーからも意見が活発に出ていました。ゲーム後のメンバーからのフィードバックでは、良かった点として、ムードメーカーになってくれた、意見を吸い上げてくれた、ほめてくれたなどがありました。改善点としては、ゴールのイメージを明確に持つことができなかった、途中経過の説明がなく、なぜその行動をしなければいけないのかが分かりづらかったとの意見がありました。普段の仕事でも、チームの雰囲気づくりは意識して行っているとのことです。しかし、目標はメンバーに伝えているだだけで、メンバーがイメージし納得できるように伝えていなかったかもしれないことに気付いたとのことです。

以上、「体験型ワーク」のゲームをすることで、リーダーとして無意識に行っている行動が明らかになり、リーダーの強み・弱みを認識した例をご紹介いたしました。

リーダーシップを学ぶには、本や人から教わることも大事です。しかし、行動を起こすためには、自ら成功や失敗体験から気付き、納得することが必要ではないでしょうか。本来であれば、仕事のなかで仕組みをつくることが重要だと思います。しかしながら、仕事が複雑になり、リーダーの行動だけに焦点を合わせて考えることが難しくなっています。「体験型ワーク」はチームで活動して目標を達成するというシンプルな活動を通して、リーダーとして必要な行動を分かりやすく理解するためにとても有効だと思います。

2012年8月19日日曜日

『「超」入門 失敗の本質』に学ぶ日本の弱みとは

『「超」入門 失敗の本質」』という本を読みました。この本は、大東亜戦争時の日本軍の組織を研究した「失敗の本質」の入門書という位置付けで書かれています。戦争に負けてしまった日本軍の組織の弱みを分析し、現在の日本企業の組織にも共通点があると指摘しています。

現在、日本は経済的に世界で影響力が弱くなっています。日本は組織としてどのような弱みがあるのか、自分自身にも活かすべきところはないかと思い、この本を手にしました。この本のなかで、自分自身にとって学びがあったことについて書いていきます。

◆「戦略」を大局的に考えること
この本では、日本軍は「戦略」を大局的に考えることが苦手であると述べています。日本軍は、「戦術」のみを洗練させることに注力する傾向があったとのことです。
辞書で「戦略」と「戦術」の意味を調べてみました。

「戦略」:戦いに勝つための総合的・長期的な計略。
「戦術」:戦いに勝つための個々の具体的な方法。

「戦略」を考える上で重要なことは、この本では、「いかに目標達成につながる勝利を選ぶかを考えること」とのことです。日本軍は「最終的に戦争に勝つ」という目標に向けて「戦略」を考え、そのためにどのように勝利を得れば良いのか深く考えていなかった。そのため、目標達成につながらない戦闘に時間を費やしていたとのことです。日本軍は、大局的に「戦略」を考えず、「戦術」として目の前の戦闘にいかに勝つかのみに集中していたのだと思います。

私自身の仕事を振り返ってみると、日本軍との共通点があること気づきました。仕事をする時に目標を達成するための戦略、プランもあまり考えずに仕事を進めてしまう傾向があります。その結果、目の前の業務をこなすことに一生懸命になってしまうことで、目標達成につながる行動ができていないことが多いと思います。戦略・プランが明確に決まっていないため、結果とのギャップを測れず、振り返って次回への行動につなげることもできません。今後は、仕事をする上で、戦略を明確に立てることを意識して行動していきたいと思いました。

◆目的を押さえて新しい方法を考える
日本人は、一つの物事を改善し、洗練させていくことに強みがあると言っています。実際に日本軍は、厳しい訓練で、戦闘の技を達人的なレベルまで高めていくことで、とても強かったそうです。しかし、戦闘が人間の技だけに頼らない軍事技術(レーダー、命中精度の高い砲弾、操縦技術が低いパイロットでも運転でき、勝てる飛行機など)にシフトしていき、負ける戦いが増えてきたそうです。日本軍は戦闘の勝敗を決める流れを察知できず、達人の育成に執着してしまい、軍事技術の開発を軽視しまったことが、戦争に負けてしまった要因の一つであったようです。

この本では、シングルループとダブルループという考え方を紹介しています。

シングルループ:すでに備えている考え方や行動の枠組みにしたがって問題解決を図っていくこと。
ダブルループ:既存の枠組みを捨てて新しい考え方や行動の枠組みを取り込むこと。

日本軍はシングルループの考え方は得意ですが、ダブルループの考え方をして、変化していく状況に合わせて、根本的な解決策やイノベーションを起こしていくことは苦手とのことです。
私自身の仕事も振り返ると、今行っている業務のやり方を、早く正確に行うなど洗練させていくことのみに注力していることに気づきました。今の業務はなぜそのやり方を行っているのか、疑問を持ってあまり考えていませんでした。今後は、現在の状況を踏まえて、業務の目的は何か、新しい方法はないかを考えることが重要だと思いました。


私は、日本の強さは、一つの物事にこだわり、改善してさらによい物を創り出していく力だと思います。高度成長期は、つくれば売れていたので、製品の機能や性能を良くすることにこだわって製品を開発していけば良かったかもしれません。しかしながら、お客様のニーズが多様化している現在、日本企業は発想の転換が遅れ、お客様の視点を徹底的に考えた製品づくりを戦略的に考えて、実践してこなかったのではないでしょうか。お客様の視点を徹底的に取り入れて、日本人が持っている改善していく力で、よりお客様のニーズに応える商品づくりを行っていけば、現在の行き詰った日本の経済状況を乗り越えていけるのではないかと思っています。

2012年8月12日日曜日

なでしこジャパンの強さの秘密とは

連日オリンピックの観戦で、寝不足の方も多いと思います。メダルに向けて真剣に取り組んでいる選手の姿や、メダルを獲得した選手を見て、毎日感動をもらっています。個人的にはサッカーに注目していましたが、なでしこジャパン、銀メダルでしたね!男子は惜しくもメダルを逃してしまいましたがよく健闘したと思います。

なでしこジャパンは、2011 FIFA女子ワールドカップで優勝、オリンピックで銀メダルと、チームとしてとても成長し、強くなりました。練習や試合中の選手の様子を見ていると、選手達は明るく伸び伸びと、楽しそうにプレーをしています。また、試合後にほとんどの選手は、「最高の仲間と戦えて誇りに思う」、「このメンバーと戦えて幸せです」とコメントしていて、チームとしても雰囲気は良く、お互いに信頼し合い、プレーをしていることが伝わってきます。

なでしこジャパンはなぜ、ここまで強くなれたのでしょうか?

なでしこジャパンの強さの理由として、戦略・戦術や、フォーメーション、技術などいろいろあると思いますが、チームワークやリーダーシップという観点で、なでしこジャパンの強さの秘密を考えていきたいと思います。

なでしこジャパンの強さの理由は、以下3点あると思います。

1. 仲間を思いやり共感する
佐々木監督は、著書の「なでしこ力」の中で、なでしこジャパンの強みは、「仲間を思いやり共感する心」と言っています。辞書で調べたところ、「思いやる」とは、「他人の身の上や心情を推し量って、同情する。また、配慮する。」という意味です。また、辞書で「共感」するとは、「他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。」という意味です。チームメンバーのことを思いやり、自分事として共感し合うことで、お互いの課題に対して助け合い、落ち込んだ時には励まし合うことで、チームとしてお互いに力を高めていったのではないかと思います。

また「思いやる」には、「遠く隔たっている人や物事を思う。思いをはせる。」という意味もあります。オリンピック代表として試合に出られているのは、自分や自分達の力だけでなく、オリンピックに出たくても選ばれなかったすべての選手、スタッフの方々、応援してくれている方々、家族などお世話になった方々がいたからという思いを共有できたからこそ、チームとして一丸になって戦えたのではないでしょうか。
オリンピック初戦であるカナダとの試合開始直前のロッカールームで、キャプテンである宮間選手は、「ここに立てるのは選ばれた18人だけ。大切な思いや大切な人たちがいて、私たちは戦っている。ここからの6試合、お互いのために戦おう」とメンバーにメッセージを送りました。佐々木監督、チームメンバーは、宮間選手の言葉を聞いて、強く心を動かされて、みんなのために金メダルを絶対に取るという気持ちが強く働いたのではないでしょうか。


2. 自分らしさを最大限に発揮する
佐々木監督は、コーチを語源である「馬車(人をある地点まで送り届ける)」としたら、選手は「乗客」であると言っています。選手は「馬」で、ムチで叩いて目標に向かわせるのではなく、「乗客」である選手を目標の地点まで送りとどけることとのことです。そのために、コーチとして、「選手の力を引き出す」ことが重要であるとのことです。

佐々木監督は、前述の「なでしこ力」の中で、選手達に対して以下を意識して行っていると書いています。

・自ら考えさせる
サッカーの試合は、いったん試合が始まったら、監督ができることはあまりありません。試合のなかで、選手達自身が一つひとつ判断してプレーをする必要があります。佐々木監督は、監督が簡単に指示をしてしまったら、選手達の判断は絶対に身に付かないと言っています。監督は勝たせなければ、教えなければという想いが強くなり、型に当てはめてしまいがちだとのことです。規則や指示で選手を管理するのではなく、自ら考えさせ判断をさせることが重要とのことです。

・強みを活かす
佐々木監督は、選手の強みを活かし伸ばすことを意識して行っているとのことです。選手の強みを見抜き、本人にその強みが武器になることを伝え、強みを伸ばす。そして、適材適所で強みが活かせるポジションを与えるようにしています。なぜなら、本人がサッカーをもっとうまくなりたいと思うからこそ努力をし、強みを活かせる場を与えられたことで成長するからとのこと。選手の弱みを指摘することだけでは、本人は成長しないし、チームの力も成長しないとのこと。また、難しいことでも、「無理だ」と最初から諦めるのではなく、「まずはやってみる」ことを伝え、相手を信じ、「必ずできる」と伝えているとのことです。

・自分らしさを表現させる
佐々木監督の指導理念は、「選手に自分らしさを表現させる」とのことです。そのために、選手の前では、身構えず常に心を開き、等身大の一人の人間として振舞っているとのことです。自分らしさを表現できる、何でも言いやすい雰囲気づくりをするためとのこと。自らの感性や個性を大事にして伸び伸びと表現してもらうことで、自ら誇りと自信を持ったプレーができるとのことです。佐々木監督はインタビューでは、冗談をよく言っていましたが、「笑い」を大事にしていて、練習や、ハーフタイムの時に冗談を言って笑わせています。これにより、選手達はリラックスして、自分らしさを出せるようになると思います。

3. 楽しむ
試合では、キックオフ直前に、選手達が円陣を組んでいる時や、各ポジションに走っている時に、選手達の笑顔がとても印象的でした。緊張していてプレッシャーがあると思いますが、自然と笑顔が出ている姿を見て、楽しんでいることがとても伝わってきました。佐々木監督は、選手が楽しくサッカーができるように、何ができるかを考えているとのことです。練習では厳しいようですが、試合では、練習してきたことも大事だが、一番大事なのは「好きなサッカーを思う存分楽しむこと」と伝えているようです。ロッカーのホワイトボードには、細かい戦術ではなく、「楽しむ」と書いていたこともあったようです。

なでしこジャパンから、仕事で強いチームになるために、学ぶことがたくさんあると思います。

最後に、女性を部下に持つ方にとって、とても参考になる話がこの本に紹介されていたのでご紹介します。女性は、男以上に細かい点に気づきや、人に対する気持ちに敏感であり、仲間意識を重要視するとのことです。身だしなみに関しては、仕事でどんなに良い意見を伝えたとしても、鼻毛が出ていたことで、信頼と尊敬が減ってしまうとのことです。また、無表情であったり、すこしイライラすることだけで、女性は敏感に反応して委縮してしまったりするそうです。男性社員は女性社員に接する時には気をつけていきたいですね。

2012年8月5日日曜日

楽天の三木谷さんに学ぶ「成功のコンセプト」とは

三木谷浩史さんの「成功のコンセプト」という本を読みました。三木谷さんは、ご存じの通り楽天をたった2人で創業して、インターネットモール「楽天市場」を日本国内で最大級に成長させました。また、最近では今年の7月19日に発売された電子書籍リーダー「kobo Touch」が話題になっています。「成功のコンセプト」では、三木谷さんがビジネスを行う上で、重要だと考える5つのコンセプトを紹介しています。5つのコンセプトは、「常に改善、常に前進」、「Professionalismの徹底」、「仮説→実行→検証→仕組化」、「顧客満足の最大化」、「スピード!!スピード!!スピード!!」です。すべてのコンセプトはとても参考になりますが、この本を読んで、私が特に印象に残った2点をご紹介します。

◆改善は凡人が天才になる方法
三木谷さんは、凡人が少しずつでも日々改善を続けていけば天才になれると言っています。改善は誰でもでき、毎日たった1%の改善をするだけでも、1年続ければ37倍になる(1.01の365乗)。そして、改善をするためには、明確な目標を立て、絶対に目標を達成するとういう意識を持つことが重要とのことです。この本では、目標に対する2つの姿勢を紹介しています。それは、「Best effort basis」と、「Get things done」という姿勢です。「Best effort basis」は、目標に達成しなくてもがんばったから良いとして言い訳をする姿勢です。「Get things done」は、あらゆる手段を使って何としても目標を達成しようとする姿勢です。目標を明確に設定し、「Get things done」の姿勢で取り組むからこそ、真剣に改善ポイントは何かを考え、日々改善を実践し、目標を達成することができるのだと思います。

◆当事者意識を持つ
三木谷さんは、社員に当事者意識を持ってもらうことが重要であると言っています。経営者として、社員に当事者意識を持ってもらうために、楽天を自分の「家」と考えてもらい、社員に対して様々な取り組みを行っています。例えば、楽天では掃除は外部の会社に依頼するのではなく、自分達の手で掃除をしています。そのことにより、仕事場を自分の「家」と思い、同僚を「家族」と思う意識につながり、当事者意識を持つことができるとのことです。楽天は、ここ数年で急速に海外展開もしていますが、買収した企業に対しても、自分達の手で掃除を行うようにしています。また、日本で行っている「名札の着用」も社員に義務付けています。国、人種や価値観が異なったとしても、楽天が重要視している価値観を共有して、楽天という「家」に所属する一員として、当事者意識を高めることを徹底的に行っています。

私は「成功のコンセプト」を読んで、楽天はしっかりとしたコンセプトを持ち、社員が徹底的にそれを意識して実践できているからこそ、急成長をすることができたのだと実感しました。コンセプトは、当たり前の事で、誰もが意識し実践することができることです。しかし、社員が日々徹底して実践することはとても難しいと思いました。コンセプトを社員が意識して実践できるようになるために、会社を「家」と捉え、当事者意識を持つことができる取り組みは、とても素晴らしいと思いました。私も、日々の行動を見直し、当たり前のことかもしれませんができていないことを、徹底的に実践していきたいと思いました。

2012年7月29日日曜日

あなたはどんなことに心を動かされますか?


リーダーとして、社員が主体的に行動してくれないと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
人が納得して行動するためには、どのようなことが必要なのでしょうか?

今回のブログでは、この疑問に答える一つの考え方として、ハーバードビジネススクールの人気教授であるジョン・コッターが書いた「ジョン・コッターの企業変革ノート」で書かれている考え方をご紹介します。

この本では、組織変革で重要な考え方を、複数の成功事例を用いて紹介しています。コッターは、組織を変革するためには、戦略・組織構造・制度を変えるだけでなく、「社員の行動」を変えることが肝であると言っています。そして社員の行動を変えるためには、理屈だけではなく、「心や感情」に訴えて、問題点や解決策に気づいてもらうほうが効果的であると言っています。「分析し、考えて、変化する」流れよりも、「見て、感じて、変化する」流れのほうが強力であるとのこと。

「見る」:事実を具体的に、5感など心に訴えかけるように伝える。反発されないために、感情的にならず冷静に事実を伝える。
「感じる」:心が動かされ、行動を妨げる感情が抑えられて、変革を促進する感情が高まる。
「変化する」:感情が高まることにより、行動が変化する。

この本で紹介されているある製造会社の事例を紹介します。その製造会社は、コスト削減のために購買プロセスを大幅に見直す取り組みをしようと考えました。まずは、事実を確認するために、工場で何種類の手袋を購入して、費用はいくらかかっているのかを調査しました。調査の結果では、工場で購入している手袋は424種類もあったとのことです。手袋は工場ごとに発注先が異なり、価格交渉も個別に行っている。同じ手袋であるのに、ある工場では5ドル、別の工場では17ドルで購入していたという状態であったとのこと。手袋の問題は一例であって、会社全体で購買プロセスに関して大きな問題になっていたことがこの調査からわかりました。そこで社員に問題点を意識してもらうために行ったことは、すべての手袋424種類を集めて、それぞれの手袋に価格と工場名を書いたタグをつけ、役員室のテーブルに並べました。まずは各部門のトップを役員室に招いて見てもらいました。どの幹部も否定できない事実を「見て」、いかに非効率でコストを意識していないかを「感じる」ことにより、心が動かされ、「変わる」ことの必要性を実感したとのこと。また、現場の工場へもこの手袋が順次持ちこまれ多くの従業員の目に触れることで変革への意識が高まり、購買プロセスの変革につながったとのことです。

また、この本以外の事例として、韓国のサムスンの例をご紹介します。サムスンでは、1993年の夏に製造した携帯電話の25%が不良品であることが発覚しました。そこで、サムスンは製品の品質を社員に意識させるために、販売しようとしていた携帯電話の在庫15万機すべてを回収して運動場に高く積んだそうです。社員が運動場に集められると、社員の目の前で不良品に火をつけてすべて焼いてしまったとのことです。社員は自分達が苦労してつくった携帯が焼かれている光景を見て、涙を流していたとのことです。不良品を出してしまうことで、すべての在庫を回収して破棄しなければいけないという事実を具体的に「見せ」、「感じる」ことによって危機感を持たせ、「変わる」ためのきっかけになったのだと思います。その後、サムスンの携帯電話は主力事業になり、今のスマートフォンの好調な売上にもつながったのかもしれません。

以上、人が納得して行動するための考え方の一つをご紹介しました。リーダーとして、戦略など理屈を社員に伝えることは重要なのは言うまでもないことです。ただし、理屈だけでは人を動かすのは難しいのではないでしょうか。当たり前のことだと思いますが、この本を読み、人は「理屈」で納得するだけでなく、「感情」が動かされた時にはじめて行動を変えるのだと実感しました。この考え方は、人に納得してもらい行動してもらうことが必要なビジネスの世界では、リーダーだけでなく誰もが参考になると思います。

2012年7月22日日曜日

オフィスの整理整頓・清掃はできていますか?

整理整頓や清掃とビジネスの成果は関連があるのでしょうか?


お恥ずかしい話ですが、以前私は、会社の机の上に多くの関係ない書類で埋もれた状態で仕事をしていました。また、書類も整理されていない状態で、必要な書類を探すだけで一苦労でした。また、オフィスが汚れていても気にしていませんでした。しかし、現在は意識して、毎日帰る際は机の上をきれいにし、物が何も置いていない状態にしています。仕事中も、必要なものを最低限出し、書類もその場で整理するようにしています。また、オフィスの掃除やごみ捨ても意識して行い、なるべく社員全員で行うようにしています。あたり前のことだと思いますが、整理整頓や清掃をすることで、書類をすぐに探すことができ、仕事の効率も上がります。何よりも机やオフィスがきれいなことで、気持ち良く仕事ができると感じています。

みなさんはよくご存じだと思いますが、整理整頓や清掃に関しては、職場環境の維持改善で用いられるスローガンとして「5S活動」があります。「5S活動」の意味は以下です。(Wikipediaより)
・整理(せいり、Seiri):いらないものを捨てる
・整頓(せいとん、Seiton):決められた物を決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておく
・清掃(せいそう、Seisou):常に掃除をして、職場を清潔に保つ
・清潔(せいけつ、Seiketsu):3S(上の整理・整頓・清掃)を維持する
・躾(しつけ、Shitsuke):決められたルール・手順を正しく守る習慣をつける

5S活動を徹底的に行ってビジネスの成果を出している有名な企業としては、日本電産という精密小型モータや機器装置の製造・開発・販売を行っている会社があります。精密小型モーターの開発・製造では、世界一のシェアを誇っています。また、M&Aも積極的に行い、業績不振の会社を買収した際も、社員を削減せずに数多くの企業を再生させてきたことでも知られています。創業者で代表の永守さんは、業績不振の企業を再建するために最も重要なのは、 「6S・3Q」であると言っています。6Sとは、5Sに「作法」を加えたもので、これを実践すると、3Q「Quality Worker(良い社員)」、 「Quality Company(良い会社)」、 「Quality Products(良い製品)」につながると言っています。6S活動の評価は月に2度行い、書類を30秒以内に探し出す、引き出しを開けて整理されているか確認する、工場の床に油がこぼれていないか確認するなど多くの項目をチェックして、職場ごとに点数化しているとのことです。永守さんは、「仕事にどんな意識で取り組んでいるかが6Sに象徴的に現れる。再建したどの企業も、6Sの点数の向上と比例して業績が好転した。」と言っています。6S活動を徹底することを通じて社員の意識変革をして、徹底的に無駄を省いて効率化することで、業績不振の会社を再生できているのだと思います。

私は以前、整理整頓や清掃などはビジネスの成果に関連は直接ないと思っていました。しかしながら、整理整頓や清掃など基本的なことがとても重要で、ビジネスの成果にも結び付くと思います。机の上やオフィスは社員や会社を映し出す鏡です。「当たり前のことを当たり前に行うこと」が徹底できていないことにより、効率的、かつ確実に仕事をすることができなくなってしまうと思います。また、整理整頓や清掃は、外部の会社に任せるのではなく、社員全員で行っていくことが良いと思います。当事者意識を持ち、お互いに協力し合うことで、会社や仕事に対しても、より責任感を持つことができるのではないでしょうか。常に、整理整頓をし、働きやすく気持ちの良いオフィスになるように心がけて行動していきたいと思いました。


2012年7月16日月曜日

エンゲージメントとは(会社と個人の関係性について考える)

みなさんは「エンゲージメント」という言葉を聞いたことはありますか?人材育成や組織開発の分野で、会社と個人の関係性を表す言葉として、数年前から良くこの言葉を聞くようになりました。英語の辞書で「engagement」の定義を調べてみたところ、「婚約、結婚の約束」という意味でした。会社と個人を「婚約」にたとえて、お互いにパートナーとして高め合い、未来を築いていくことが求められてきているのかもしれません。

エンゲージメントの定義は様々あります。以下に、いくつかご紹介します。
・「組織(会社)」と「個人(社員・構成員)」が一体となって、双方の成長に貢献しあう関係(HUMAN VALUE)
・社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されますが、より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。(日本の人事部)
・この会社にいれば、自分のありたい姿に向かって成長できる。しかも、自己実現のための努力が会社のビジョン実現にも貢献できると思う社員が多い状態(日経情報ストラテジー)

最近エンゲージメントが注目されてきた背景としては、
・社員の仕事に対する考え方が変化してきて、仕事に対して金銭的な報酬だけではなく、仕事を通して自己実現ややりがい、社会貢献の意識を持つ社員が増加してきている。
・雇用形態や価値観の多様化により、仕事に対してやりがいを持って働いてもらうために、より個人一人ひとりに合わせた対応の必要性が高まってきている。
・人材の流動化が進み、社員はより自分に適した場に転職してしまう傾向にある。
などが考えられると思います。

アメリカに調査機関でギャラップ社という、エンゲージメントの調査で有名な会社があります。300万人の社員、20万人のマネジャーの分析を行った結果、組織のパフォーマンスに最も影響を及ばしているのは「エンゲージメント」であるという研究報告を出しています。個人にとって、報酬や福利厚生などに対する満足度などよりも、自己実現による成長が企業のパフォーマンスに強く関係しているとのことです。そして、エンゲージメントを高めるためには、現場のマネジャーが重要な役割を担っているとのことです。リッツ・カールトンという顧客サービスで他のホテルから一目置かれている有名なホテルは、このギャラップ社のエンゲージメントサーベイを活用しているそうです。社員のやる気を高めることで、顧客サービスを高めることに取り組んでいます。

ギャラップ社によると、エンゲージメントの状態は、以下の12の質問項目を社員にアンケート調査することによって測定できるとのことです。

1. 私は仕事の上で、自分が何を期待されているかが分かっている 
2. 私は自分の仕事を正確に遂行するために必要な設備や資源を持っている 
3. 私は仕事をする上で、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている 
4. 最近1週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした 
5. 上司または職場の誰かは、自分を一人の人間として気遣ってくれている 
6. 仕事上で、自分の成長を励ましてくれる人がいる 
7. 仕事上で、自分の意見が考慮されているように思われる 
8. 自分の会社の使命/目標は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる 
9. 自分の同僚は、質の高い仕事をすることに専念している 
10. 仕事上で、誰か最高の友人と呼べる人がいる 
11. この半年の間に、職場の誰かが自分の進歩について、自分に話してくれた 
12. 私はこの1年の間に、仕事上で学び、成長する機会を持った


みなさんの会社のエンゲージメントの状態はどうでしょうか?

強い組織にするためには、このエンゲージメントという考え方は非常に参考になると思います。
会社としては、方向性を明確にし、社員一人ひとりが仕事で何を実現したいのかを理解し、社員の自己実現を最大限にサポートすること、そして、個人としては、目標を明確にし、会社を通して自己実現に取り組んでいくことが重要だと思います。


実際の夫婦でも、お互いに高め合って成長し合える「エンゲージメント」が高い関係性にしたいものです。


2012年7月8日日曜日

星野佳路さんに学ぶ社員のやる気を引き出す考え方とは


今回のブログでは、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」から、星野佳路さんの社員のやる気を引き出す考え方についてご紹介します。ご存じの方も多いと思いますが、星野佳路さんは、星野リゾートというリゾートホテルの運営をしている会社を経営しています。事業としては、経営不振に陥ったホテルの再建もしています。星野さんは、山梨県のリゾナーレや、北海道のアルファリゾート・トマム(現、星野リゾート トマム)など数多くのホテルの再建を成功させ有名になりました。私が星野さんを知ったのは、5年ほど前にリゾナーレで宿泊の研修を数多く行っていたことがきっかけでした。かつてリゾナーレは、負債総額が147億円あり、廃業寸前だったそうですが、星野さんが3年間でリゾナーレを再建をさせたとの話を聞き、どのように行ったのか、とても関心を持っていました。
星野さんは、再建の鍵は、「うつむきがちな社員のやる気をどのように引き出すか」だと言っています。これから職場がどうなるのか分からず、不安な気持ちを抱えた社員のやる気を、星野さんはどのように引き出していったのでしょうか?

◆「任せれば、人は楽しみ、動き出す」
星野さんは、31才の時に、父が経営していたホテルを継ぎました。その時にはアメリカで学んだホテル経営学を駆使して、詳細な接客マニュアルを作成しました。そして、マニュアル通りの行動を社員に求めるなど、トップダウンで指示をするやり方を行ったとのことです。しかし、ベテラン社員が反発して、1/3の社員が辞めてしまったとのことです。その時に、どのようにしたら社員が辞めずに働いてくれるのかが経営の最重要課題になり、悩んだとのことです。その経験から、「任せれば、人は楽しみ、動き出す」ことに気づいたとのことです。
まず、星野さんは再建をする際に、社員に「経営者が主役ではなく、みなさんが主役である」と伝えるそうです。そして、社員に仕事を任せ、最終的な意思決定は社員がするようにしているとのことです。自分達が決めた結論だからこそ、やる気になってがんばるようになるとのことです。組織構造もフラットにして、仕事ごとに10人程度のユニットをつくり、責任者を立候補制にして、やる気がある人にリーダーになってもらう仕組みにしているそうです。

◆社員の共感を得る
星野さんは、再建をする際に、ホテルのコンセプト(誰に対して、何を提供するのか、自分達の強みは何か)を、市場調査やデータ分析・整理を通して、社員と徹底的に考えるそうです。コンセプトを決める際に、星野さんが最も重要にしているのは、「共感」とのことです。コンセプトは、正解はないため、正しいものではなく、社員に最も共感してもらえるもので決めることが重要だと言っています。社員が、どんなリゾート施設にしたいのか、自分は何になりたいのか共感でき、自分がやるべきことをイメージできることで、自分のホテルに対してプライドを持つことができ、自ら動くようになるとのことです。
星野さんは、理想のリーダーについては、「行き先、ビジョンを示し、共感を得る力を持っている人」と言っています。これから社員にどのような素晴らしいことがあるのかを伝え、強制的ではなく、自らやりたいと思ってもらうことが重要とのことです。

星野さんは、「社員を信じる」ことがホテルを再生するために一番重要だと言っています。社員は、基本的にお客様に楽しんでもらいたい、喜んでもらいたいと思っている。そこを信じることができれば、社員信じ、任せることができるとのことです。私は、現実的に、リーダーが「社員を信じる」ことは、社員が誤った意思決定や行動をとってしまうリスクがあり、難しいのではないかとも思いました。しかし、「社員を信じ」、共感できるコンセプトを共有し、仕事を任せることでやる気を出し、自ら動き出す社員が育つと感じました。星野さんの考え方は、リーダーとして参考になることも多いと思います。

2012年7月1日日曜日

稲盛さんから学ぶ社員の意識改革とは

先週の6/28(木)にカンブリア宮殿というTV東京の番組で、稲盛 和夫さんが出演されていました。みなさんもご存じの通り、稲盛さんは、2010年から経営破たんをしたJALの再建に取り組み、わずか2年で業績を回復させました。JALは、今年再上場を申請しています。
再建を引き受けた直後、稲盛さんは、JALの社員について、
・高学歴で頭は良いが官僚的でプライドが高い
・お客様を大事にする、誠実に一生懸命仕事をするなど、人として大切な意識が足りない
・倒産したという事実すら認識が薄い
と言っていました。
このような難しい状態のJAL社員の意識を、稲盛さんは、どのように変えたのでしょうか?アメーバ経営で有名な「部門別採算制度」を導入したことにより、コスト意識と責任感を持たせたことも意識改革に大きな影響を与えたと思いますが、それ以外はどのようなことを行ったのでしょうか?

◆人間としての道徳観の浸透(リーダー教育)
稲盛さんは、まず幹部に対して、1ヵ月間(18回、1回3時間)、リーダー教育を実施したそうです。そこで行った内容は、人間として最低限必要な道徳観を繰り返し伝えたそうです。一見すると、内容は極めて当たり前のことでしたので、最初、JALの幹部の反応は、子供でも分かることをなぜ学ぶ必要があるのかと、反発していた人が多かったそうです。ただし、稲盛さんはリーダー教育のなかで、繰り返しあきらめずに伝えていったそうです。すると、頭では分かっていたが実践できていなかったのではないか、実践できていなかったことが倒産につながったのではないかと思う人が出てきたそうです。そして、リーダー教育で学んだことを自分のメンバーにも伝えたいと考える人が増え、現場にも浸透させていったそうです。現場に浸透させていく時は、現場の方(例えばキャビンアテンダント)は純情な方が多かったので、リーダー教育の内容の良さを実感して納得する人も多く、一気に社内のムードが良くなったとのことです。現在は、リーダー教育での学びを元に、自分達でJALとしての考え方・価値観をまとめた「JALフィロソフィー」を策定して、フィロソフィーが書かれた手帳を全社員に配布し、教育も自分達で行っているとのことです。
私は、この番組を見て、人間性とビジネスはとても深く関係性があると感じました。お客様のことを考え、誠実に・謙虚な気持ちで仕事をすることは、当たり前かもしれませんが、意識して実践することが大切だと思います。稲盛さんは、社員の意識を変えていくために、まずは道徳観を通して人間性を徹底的に繰り返し伝え、人として、仕事として何が大事なのか、どうしていきたいのか考えさせたのだと思います。「JALフィロソフィー」のなかで、自戒を込めて、「常に謙虚に素直な心で」を意識して仕事を行っていきたいと思いました。

◆経営方針・目的
稲盛さんは、会社の経営に関して、トップの一部だけではうまくいかず、全社員の心をつかみ、社員と気持ちを一緒にして協力してもらうことが必要だと言っています。そのために、経営の方針・目的については、「全従業員の物心両面の幸せ」を第一に考えているとのことです。そのことにより社員も一生懸命協力してくれるとのことです。

JALのホームページで企業理念として稲盛さんは、
「公明正大で、大義名分のある高い目的を掲げ、これを全社員で共有することで、目的に向かって全社員が一体感をもって力を合わせていくことができると考えています。
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客様に最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。」
と書かれています。

私は、このような経営方針・目的を明確にJALの社員に打ち出すことで、今後会社の方向性が分からなく不安ななか、社員は経営陣に対して安心感と信頼を寄せ、自ら意識を変え行動できたのではないかと思いました。そして、社員がJALを好きになり、JALで働いていることに誇りを持つことにより、お客様に最高のサービスを提供できるようになるのだと思います。

以上、番組を見て、社員の意識を変えていくためには、会社としての価値観や方針を明確にして、全社員に繰り返し伝え、共有していくことが重要だと感じました。その際には、一方的に伝えるのではなく、社員の信頼と納得を得て、自ら考えて行動ができるように伝えていくことが大切だと思いました。次回飛行機に乗る機会があれば、JALのサービスを体感してみたいと思いました。

2012年6月24日日曜日

サッカーの岡田監督から学ぶ強いチームとは



少し前になりますが、先月の5/21にNHKのプロフェッショナルという番組で、サッカーの岡田武史監督を紹介していました。みなさんもよくご存じだと思いますが、2010年の南アフリカワールドカップでは、日本代表をベスト16に導き、すばらしいチームをつくり上げた監督です。強いチームをつくることに関して、とても興味深い内容でしたので、ご紹介したいと思います。

「自ら考え、動けるチーム」
監督は、一方的に指示をするのではなく、「考えさせ、気付かせる」ことを重視しています。自ら考えて、自分の意見を伝え、行動できる選手を育てるためです。そのために、選手が自由に意見を言える雰囲気づくりを重視しているとのことです。練習では、ほとんど指示や答えを教えず、自ら考えさせて気付かせる手法をとっています。今の選手やチームの課題は何か、課題を乗り越えるためには何が必要かを徹底的に考えて、「気付かせる」メニューを都度考えて練習を行っています。しかし、このスタイルになる前は、選手に徹底的に戦術を教え、理解させるやり方を取っていました。選手は戦術を理解し、監督の言葉通りに動くことである程度までは成果を残せたそうです。ただ、監督の考えを越える戦術は生まれない。世界で戦うためには、自ら考え動ける選手・チームを育てることの重要性に気付いたとのことです。
仕事でもリーダーとしてチームのマネジメントをする上で、岡田監督の考え方はとても参考になると思います。ビジネスの環境変化が早く、メンバーも多様化するなかで、リーダーがメンバーにすべて指示・命令することで成果を出すことは難しくなってきていると思います。リーダーは、チームに「考えさせ、気付かせる」ことにより、自ら責任を持ち、考えて行動できるチームをつくるこができると思いました。

「勝負の神様は細部に宿る」
勝負は、戦術面やフォーメーションで決まるのではなく、一人ひとりが「大丈夫だろう」、「少し手を抜こう」という少しずつの気持ちの積み重ねで負けてしまうと言っています。例えば、1回マークを外してしまったり、大丈夫だろうと思ってスライディングをしなかったり。それを、岡田監督は「勝負の神様は細部に宿る」と言っています。岡田監督は、小さなことをきっちり丁寧にやることに、とてもこだわるとのことです。この話も、仕事で、つながることが多い話だと思いました。一つひとつの仕事を真剣、確実に行う、「あたり前のことを、当たり前にやる」ことで、仕事の成果も変わってくると思います。また、一人ひとりがこの意識で仕事をすることで、とても強いチームになるのではないでしょうか。当たり前のことかもしれませんが、難しくとても重要だと実感しました。

現在、岡田監督は、2012年から中国サッカー・スーパーリーグの杭州緑城足球倶楽部で監督を行っていますので、どんなチームが出来上がるのか、注目していきたいと思っています。

2012年6月17日日曜日

組織で働く上で大切な行動とは


6/12のワールドカップ最終予選、日本対オーストラリアの試合は、アウェーのなかで日本代表は良く戦いましたが、勝ってほしかったですね。前回のブログで、「サッカーから学ぶリーダーとは」というテーマで長谷部選手のことを書きました。その長谷部選手の試合後のコメントを聞き、チームのキャプテンとしてさすがだなーと思いました。彼は、「この3連戦では、なかなか出番が少ない選手がチームのムードをよくしてくれたので、あとで声をかけたいです」と言っていました。チーム全体を見て、試合に出られず悔しい思いをしている選手のことも考え、チームのバランスを整えていると感じました。これが、チームの一体感・力を引き出すことに繋がっていて、発言もこれを常に意識していると思います。長谷部選手の行動は他の選手にも良い影響を与えているのではないでしょうか。2010ワールドカップでは、得点を上げた選手は、まずベンチに行って控え選手と喜びを分かち合う姿が印象的でしたね。

今回のブログもサッカーの長谷部選手のネタになりますが、彼の著作である「心を整える」のなかから、今回は、組織で行動する上で重要だと私が感じたことを書いていきます。

■「チームメイトから食事に誘われたら、絶対に断らない」
長谷部選手は自分は引っ込み思案な性格と言っていますが、海外へ移籍後、積極的に自分から話しかけることや、試合後にチームメンバーから食事に誘われたら断らないことを意識して行動していたとのことです。練習や試合の時間以外でもチームメンバーと時間を共有することで、チームメンバーの意外な一面を知ることや、自分のこともより理解してもらえ、信頼関係を築くことができると書いています。仕事で考えてみると、最近は仕事以外での飲み会などつきあいも減ってきているようですが、お互いに信頼関係を築き、組織として力を発揮するためには、仕事以外の飲み会などで関係性を深めることはとても重要だと思いました。

■「監督の言葉にしない意図・行間を読む」
先発から外され、控え選手としてベンチから試合を見ている時は、とても落ち込み、ふてくされてしまう気持ちになってしまうことが多いようですが、ベンチに座っている時こそチャンスであると長谷部選手は言っています。なぜなら、監督がどんなプレーを評価しているかを、すぐ間近で観察し、学ぶことができ、自分のプレーに活かすことができるからとのことです。また、プロになった初めの頃は、遠慮せずにガツガツやろうと思い、監督と意見が異なった時にすぐに反論をしていたとのことです。しかし、Jリーガーになったことで天狗になっている自分に気付き、監督の言葉を表面的に捉えるのではなく、常に監督が発した言葉の意図は何かを汲み取り、行動することを意識するようになったとのことです。仕事で考えてみると、部下として、謙虚な心を持ち、自分の意見を優先する前に、上司が気にしていることは何かを考え、言葉の意図を汲み取って行動することがとても重要だと思いました。

以上、長谷部選手からは、組織で働く上で大切な行動を多く学べると思います。自分自身も仕事で、意識して行動していきたいと思いました。

2012年6月10日日曜日

サッカーから学ぶリーダーとは


一昨日のワールドカップアジア予選の日本VSヨルダン戦は、日本圧勝でしたね。私はリアルタイムで試合を見ることはできず、とても残念でした。香川、本田、長友など海外で活躍する選手も増え、個人としてサッカーのスキルが高くなり、今後の日本代表の活躍が楽しみですね。


私は、日本代表を見ながら、どのようにすれば強いチームができるのか、チームのリーダーはどのような行動をすれば良いのかも考えながら日本代表を応援しています。例えば、日本代表のメンバーである長谷部選手は、南アフリカで開催された2010ワールドカップからキャプテンになりましたが、長谷部選手がキャプテンになった時、正直な印象としては、今までとはまったく異なる新しいリーダーが出てきたと感じました。みなさんはどう思いましたか?みなさんは、リーダーにふさわしい人物としては、どのような人をイメージしますか?


リーダーは、突出した才能を持ち、チームメンバーに方向性を示し、ぐいぐい引っ張ってくれる人というイメージが強いかもしれません。しかし長谷部選手は、彼の著書である「心を整える」のなかで、キャプテンとして、「自分には一目で分かるような突出した武器がない」、「みんなを引っ張るリーダーではなく、組織の乱れを正していく」、「なるべく全体を客観的に見まわして、チームに足りないことを探し、チームを整える存在」を意識して行動していると書いています。チームのバランスを最優先で考えて、声を出す選手が少なければ自分からどんどん声を出す、みんなが熱くなっていたら冷静になる、チーム内で潤滑油になり、メンバー間のコミュニケーションを促進することを実践することでリーダーとして信頼を得て、結果を出していると思います。


長谷部選手は、チームの方向性を決め、引っ張っていくリーダーではなく、チームが最大限に力を発揮できるための環境をつくる、メンバーの力を引き出すリーダーであると私は思います。長谷部選手は、個人としては目立たないかもしれないが、常にチームを最優先で考え、チームが成功するためには何が必要かを考え、どれだけチームに貢献できるかを一番考えて行動していて、とてもすばらしいと思いました。


サッカーなどプロスポーツの世界は競争が激しく、誰もが他のメンバーに負けたくない、良く見られたいと、自身の成果のみを考えてしまうことが多いかもしれません。確かに自身の成長のためには必要なことですが、リーダー、そして、一人ひとりがチームの成果を考え行動することで、とても素晴らしいチームになると思います。


今回のブログを書いていて、私自身も仕事のなかで、チームの成果を考え、自分ができることを率先して行動するように意識していきたいと思いました。

2012年6月3日日曜日

体験学習を新入社員研修に使うメリットとは


こんにちは。この季節になると新入社員のみなさんは研修も終わり、配属先で既に活躍されている方も多いと思います。しかし、新入社員研修の担当をされている方から、学生から社会人として意識を変えることが難しいというお話をよく聞きます。今週のブログでは、新入社員の意識を変えるための一つの方法として、研修で体験学習を使うメリットについて書いていこうと思います。

◆チームで働く上で重要な行動を腹から理解できる
仕事をする上で学生時代と大きく異なることの一つは、個人ではなく、チームで目標達成に向けて取り組み結果を出すことだと思います。今まで私が新入社員研修を実施していた経験から、最近の新入社員はあまりチームで目標達成に向けて取り組んだ経験を持っている人が少ないように感じています。理由の一つとして、学生時代に部活やサークルに入っていた人が少ないからかもしれません。体験学習では、チームとして目標に取り組むために重要な行動(例えば、目的・目標を全員で共有する、役割分担を明確にする、全員が主体的に行動するなど)をアクティビティで腹から理解することができます。

◆会社の行動規範を腹から理解できる
会社によって、社員に期待する行動として行動規範を明確にしている場合があります。新入社員にこの行動規範を言葉で伝えることは簡単ですが、重要性を理解してもらうことはとても難しいことだと思います。体験学習のアクティビティを通じて、行動規範を一方的に伝えるだけでなく、自ら体験し実感することで腹から納得して理解してもらうためには有効です。私は過去、ある学習塾の社員に体験学習の研修を実施しました。この会社は生徒に夢を持つことと、夢に向かってチャレンジすることの大切さを理念として掲げていました。理念を実現するためには、生徒の前に、まず社員が理念を実現していることが重要と考え、会社の行動規範として以下を社員に求めていました。

・高い目標を持つことの大切さ
・チャレンジ
・チームワーク

以上の行動規範は、頭で何となく分かった気になりますが、腹から理解し、行動することは難しいと思います。研修では、この行動規範を社員が実体験として理解して行動ができることを目的に行いました。実際の研修では、自分達で高い目標を設定してチャレンジしていくアクティビティを通して、行動規範の内容を実践することの難しさと、自分ごととして腹から理解することを行いました。

◆同期の連携が強化できる
アクティビティで、お互いに一つの目標に向かって本気で取り組み、本音で意見交換をすることで、お互いの関係性が深まり、何でも言い合える関係性を築くことができます。研修が終わり、各自ばらばらの部門に配属されても、悩みがある時には相談しお互い支え合う関係性を持つことができます。また、部門間の情報交換が促進される効果も期待できます。

以上、体験学習を新入社員研修に使うメリットについて書いてきました。効果が高くおすすめです。ぜひお試しください。

2012年5月27日日曜日

若手向け(社会人1~3年目程度)の研修事例の紹介



こんにちは。本日は、若手(社会人13年目程度)向けに研修を検討している方に対して、私の経験から効果が高かった研修の事例をご紹介します。少しでも参考になればと思います。

この研修では、若手に求められる姿勢・行動として、組織で仕事を進めていく上で、「目的を明確に押さえる」・「自発的に行動する」ことを身につける目的で行っています。「目的を明確に押さえる」とは、上司や先輩からの指示に対してただやるのではなく、何のために行っているのかを押さえながら行動できるようになることです。「自発的に行動する」とは、自分で自信を持ってできることに関しては積極的にどんどんやれるようになること、また、若手は経験や知識が少ないため、自分で自信を持ってできないことに関しては、適切な人に相談、確認をして行動することができるようになることです。


研修では、学びの納得感を高めるために、体験学習のアクティビティと、具体的にビジネスの場での行動をイメージできるためにビジネスケースを使って学ぶ構成で行います。

体験学習でのアクティビティでは、タワービルディングというアクティビティを利用します。タワービルディングは、チームで与えられた道具(お皿、缶、ボール、ヒモとゴム)を使って制限時間以内にタワーを建てるというアクティビティです。チームは、リーダー役と目隠しをしたメンバーに分かれ、リーダーのみアクティビティの目的を伝えられた状態で、リーダーはメンバーに指示(リーダーはメンバーの体に触れずに声だけで指示)をします。このアクティビティで起こりがちなことは、リーダーのみが一方的にメンバーに指示をした状態が続きます。メンバーは目隠しをしているため、受身状態になり、このアクティビティの目的も分からず、リーダーから言われた行動のみを実行する状態になることが多いです。



タワービルディングの振り返りでは、受講者から、目隠しをしていたら何もできない、リーダーの言うことを聞いて行動していれば良いと思っていたが、「目的や状況が分からなければ、リーダーに確認する」、「指示待ちではなく、自分ができることを探して行動する」ことがチームとして目標達成するためには重要であるという気付きを体験から納得感を持って理解します。

タワービルディングでの学びを踏まえて、次にビジネスケースを使って、実務で求められる行動を学んでいきます。利用するケースとしては、会議の場面に若手が出席するケースを利用します。ケースは、上司が一方的に会議を進め、他の若手メンバーは会議の目的を理解していなく、あまり発言もしないという内容です。このケースを読んで、登場している若手メンバーの行動について考えてもらうと、ケースでのメンバーの行動は、実はタワービルディングでの自身がしていた行動と同じであり、ビジネスでも重要であることに気付くことができます。さらに、ビジネス場として例えば、会議の場では、会議の目的を事前に押さえること、不明点や分からない点は確認すること、会議では自発的に発言することなど、具体的にビジネスの場での重要な行動も理解することができます。

以上、簡単ですが、若手向けに対しての事例をご紹介しました。また今後、他の対象層で行っている事例もご紹介していきます。

2012年5月20日日曜日

アイスブレイクのアクティビティの紹介



こんにちは。今回のブログでは、アイスブレイクを目的とした体験学習のアクティビティをご紹介します。

仕事で研修を企画・運営する担当者の方と話をしていると、もっと受講者に主体的に研修に参加してもらいたい、活発な議論をしてほしいということをよく聞きます。研修のテーマ・目的が受講者に合っていない、受講者に研修の動機付けがされていないなど様々な理由がありますが、受講者同士が話しやすい関係性になっていないことも一つの要因だと考えられます。

お互いの心理的距離を近づけ、話しやすい環境をつくるきっかけとして、体験学習のアクティビティを利用することも有効です。1530分程度でできるアイスブレイクが目的のアクティビティで、現在の研修内容を大きく変えなくても実施できる可能性がありますので、研修を企画・運営している方はぜひ取り入れてみてください。

以下に、一般的にも知られていて、研修で比較的簡単に実施できるアクティビティをご紹介いたします。

◆ネームゲーム
【目的】
同じグループメンバーの名前を覚える、声を出し易い環境を作る
【概要】
内側の円になり、お互いの名前を呼びながらボールをまわすことで、全員の名前を覚えます。投げる人は相手の名前を呼んでボールを投げて渡し、受け取った人は、お礼の言葉と投げてくれた人の名前を伝えます。これを繰り返し行い、ランダムにボールを回しながら名前を覚えていきます。途中でボールを増やしたり、場所を入れ替えたり、ネームタグを外したりします。最後に集まって名前を覚えたかどうか誰かに全員の名前を言ってもらいます。
【効果】
チームでの議論の際に、相手を名前で呼べる事でお互いの心理的な距離を近づけることができる
【実施条件】
人数:20人程度まで
時間:10分程度
準備物:複数のボール

◆共通点探し
【目的】
同じグループメンバーと共通点を共有することで親近感を持ち、早い段階で話しやすい関係性をつくる
【概要】
グループ全員の共通点をできるだけ多く見つけます(例:趣味・家族・過去の経験など)。他のグループやりも多く見つけたグループが優勝。外見で分かるもの(メガネをかけている、服を着ているなど)や抽象的なもの(人間、日本人、男女など)はNG
【効果】
共通点を共有することで、お互いに親近感を持ち、話しやすい関係性を早い段階でつくることができる
【実施条件】
人数:1グループ6人程度まで
時間:10分程度
準備物:筆記用具、ホワイトボードなど


◆共通項で集まれ
【目的】
共通項を共有することで親近感を持ち、早い段階で話しやすい関係性をつくる
【概要】
講師がテーマを出し(血液型、星座、都道府県など)、制限時間以内に、共通のテーマを持った受講者同士が集まる
【効果】
共通点を共有することで、お互いに親近感を持ち、話しやすい関係性を早い段階でつくることができる
【実施条件】
人数:30人程度まで
時間:15分程度
準備物:なし

◆他己紹介
【目的】
相手への興味・関心を高め、「聴く」ことの重要性を理解する
【概要】
2人一組のペアになり、お互いに自己紹介とインタビューをする。その後、聞き手が相手のことを、他のメンバーに紹介する
【効果】
相手への興味関心が高まり、お互いの意見を聴くことの重要性を意識することができる
【実施条件】
人数:無制限
時間:1530分程度
準備物:筆記用具

◆エネルギー交換
【目的】
お互いに前向きに相手と関わるとお互いにエネルギーが高まることを実感する
【概要】
制限時間以内に全員と自己紹介と握手をする。握手をする際は、お互いに自分の持っているエネルギーを相手に注入する。
【効果】
前向きな意識でお互いに関わることの重要性を意識づけすることができる
【実施条件】
人数:30名程度まで
時間:15分程度
準備物:なし

◆ラインナップ
【目的】
チームとして結果を出すためには、積極的にコミュニケーションを行っていく重要性を理解する
【概要】
講師から、お題(名前順、誕生日順など)が出され、制限時間以内に全員でお題の順番通りに並ぶことができたら達成。最初のお題は話すことができるが、次のお題は話ができないため、お互いの意思疎通を工夫することが必要。
【効果】
ディスカッション時に、積極的にコミュニケションをしていく重要性を意識させることができる
【実施条件】
人数:30人程度まで
時間:15分程度
準備物:なし

◆この人は誰だ
【目的】
お互いの親近感を近づける、相手への興味・関心の意識を持つ
【概要】
全員が紙に自分のユニークな経験や特技を書き、書いた紙を袋の中に集めた後、一枚ずつ引き、全員で誰が書いた紙か当てる。
【効果】
お互いに心理的な距離を早い段階で縮めることができる
【実施条件】
人数:無制限
時間:15分程度
準備物:筆記用具、紙を入れる袋

◆署名活動
【目的】
お互いの親近感を近づける、相手への興味・関心の意識を持つ
【概要】
全員に質問(海外旅行に10回以上行ったことがある人、趣味がサッカーの人など)が書かれたシートを渡し、質問に合う人を探してその人からサインをもらう。制限時間内に、一番サインをもらった人が優勝。
【効果】
お互いに心理的な距離を早い段階で縮めることができる
【実施条件】
人数:無制限
時間:15分程度
準備物::質問シート、筆記用具

他にもユニークなアイスブレイクのアクティビティを知っている方は教えてください。

2012年5月13日日曜日

体験学習とビジネスケースの手法を使った研修の事例


前回は、体験学習とビジネスケースの効果についてご紹介しましたが、今回は事例として、この手法を使って行っているファシリテーション研修をご紹介します。


ファシリテーション研修では、会議における議論を活性化させ、最適な結論と、納得感の高い合意形成プロセスを作り出す「会議運営におけるリーダーシップ」を育成するプログラムです。研修では、体験学習でファシリテーションの難しさと必要性を体感し、ビジネスケースを利用することで、実際にビジネスで活かせるスキルを学びます。

体験学習では、「Paper Tower」というアクティビティを行います。このアクティビティは、配布される紙(A4用紙40枚)を使って、45秒間で他のチームよりも高い塔を作るというものです。実際に塔を作る前に作戦会議を10分間行います。作戦会議の間は、紙は一枚だけしか使えません。このアクティビティを行う時に、作戦会議で起こりがちなことは、以下です。



・会議の目的・ゴールを決めずに話はじめる
・作戦会議の最初に、会議をどのように進めるのか話をせずに具体的な紙の折り方や、積み上げ 方の議論をする
・全員からいろんなアイデアが出て、やり方などまとめられないまま本番がスタートしてしまう

そして、本番ではそれぞれ個人が紙を折ることなど自分の作業に集中し、時間があっという間
に経ってしまい、気付けば考えたことがほとんどできず終わってしまうことが多いです。

研修の参加者は、このアクティビティの目的を達成するために、会議として最善のアウトプットを出すためには、以下が重要であることに気付きます。

・目的・ゴール:会議の目的・ゴールを明確にして進めること
・会議の計画:会議を始める前に、10分間の会議の使い方として、何のために、何を、どれぐらい
の時間使って話をするのか具体的に計画を立てる
・プロセス:目標を達成するためには、具体的に会議をどのようなプロセス(会議での意見の引き
出し方、まとめ方)で行うのか具体的にイメージする
      
参加者は、アクティビティで実体験をすることで、会議運営の難しさと重要性に気付き、会議の時にファシリテーションの考え方が重要であることを納得感を持って理解することができます。

次に、ビジネスケースを利用して、実務の会議運営で活かせるファシリテーションのプロセスとスキルを具体的に学びます。利用するケースは、例えば「営業ミーティング」を利用します。営業ミーティングでうまくファシリテーションができない課長を通して、ビジネスの会議で必要なファシリテーションのプロセスとスキルを学びます。このケースの概要に関しては以下になります。

「某社で定例の営業ミーティングが行われている。営業メンバー10名が参加し、ファシリテーターは課長。取引のないX社からの新製品の問い合わせに関して、担当決めの議論を行います。課長は、X社の営業担当を決めようとするが、メンバーの口数は少なく、前向きな声も聞かれない。最終的には、X社の同業に新製品の提案をした経験はあるが、あまり営業の成果を出すことが出来ていないメンバーの一人に決まってしまう。」

ビジネスケースで学んでいく際は、体験学習で学んだ気付きに加えて、ビジネスの場で重要な考え方やスキルを学びます。

例えば、体験学習で学んだ「目的・ゴール」に関しては、このケースでは、ビジネスの会議でも目的・ゴールを明確にして、正しく共有することの重要性を学びます。このケースでは、ファシリテーターである課長は、「X社の担当を決めること」を会議の目的にしているが、「X社体験学習で学んだ「目標」に対応するかしないか」、「X社と取引をするためにはどのようなことをすれば良いのか」という目的にする必要があったかもしれません。会議で考えるべきこと、考える目的を明確にするためには、ロジカルシンキングのイシューの考え方を学びます。

体験学習で学んだ「会議の計画」に関しては、ビジネスでは、会議前に自分なりの会議のシナリオを準備し、参加者の立場、関心、懸念点を考慮して、誰が何を言いそうか、どんな意見・どんな論点が出てきそうかを考えておくことの重要性を学びます。このケースで、課長は、事前に自分なりのシナリオを持って会議を行っていないと考えられます。また、スキルとして、「論点を押さえる(予測する)スキル」を学びます。具体的には、ロジカルシンキングのMECEやロジックツリーを使って、会議前にどのような論点が出てきそうかを予測することで、会議を効率的・効果的に進めるスキルを学びます。

そして最後に、体験学習で学んだ「プロセス」に関しては、議論を活性化するために、傾聴すること、発言の意図をくみ取ること、論点を整理すること、対立の調整をすることの重要性を学びます。このケースで、課長は、参加者の発言を傾聴したり、整理をしていません。スキルとしては、傾聴のスキル、要約のスキル、論点整理のスキル、意見対立の調整スキルなどを学びます。

以上、体験学習とビジネスケースを利用した研修の事例をご紹介させていただきました。興味がある方やご質問があれば、ぜひご連絡ください。

2012年5月6日日曜日

参加者の納得感を高めて、ビジネスの気付きにつなげるには


今まで体験学習の研修について書いてきました。今回のブログでは、研修で参加者の納得感を高めて、ビジネスの気付きにつなげるための手法として、体験学習とビジネスケースを使った研修をご紹介させていただきます。

体験学習の研修については、以前のブログでもご紹介させていただきましたが、チームで協力しながら目標を達成するというシンプルなアクティビティ(ゲーム)を通して、目標を達成するために必要な意識や行動を学ぶ手法です。自身で実際に体験し実感値を持つことで、納得感を持って学ぶことができます。しかし、アクティビティはビジネスとはかけ離れているため、単なるゲームとして楽しかったという気持ちで終わってしまう、行動の必要性は分かったが、実務で具体的に実践するための方法が分からないという場合が多いです。実際に過去私が体験学習の研修を実施した際、研修後のアンケートで研修の満足度や気付きは高い場合が多かったのですが、ビジネスでの行動を具体的にイメージすることができたかという質問に対しては、他の項目と比べても低く、常に課題を感じていました。

この課題を解決し、参加者の納得感を高めてビジネスでの具体的な行動につなげるために、シンスターでは、体験学習とビジネスケースを組み合わせた研修を実施しています。この組み合わせの研修を行うことで、参加者は納得感も高まり、具体的なビジネスでの行動をイメージできることを実感しています。

体験学習では、主に「動機付けをする」と「本音で話し合える関係性を築く」ことを目的に行います。「動機付けをする」ことは、研修の目的に対して、アクティビティで行動する難しさを体験することで、必要な意識や行動に対して納得感を持って理解します。「本音で話し合える関係性を築く」は、アイスブレイクのアクティビティで、お互いの人となりを知ることや、チームで同じ目標に取り組むことによって関係性が深まり、お互い本音で話し合える関係性を築きます。体験学習の後に行うビジネスケースでは、体験学習で学んだ意識や行動を、具体的にビジネスの場面でどのように実践すれば良いのか、考え方とスキルを学びます。体験学習を事前に行っていることで、研修に対する意欲も高まり、また、議論も表面的ではなくお互い本音の深い議論ができます。ビジネスのケースに関しては、事前に参加者の方や上司の方へインタビューをさせていただきます。インタビューから、参加者の実務に近いケースを作成し、研修で議論することで、より具体的に職場での行動イメージを持つことができます。また、実際に参加者が課題として持っている実務ケースを題材に議論も行っています。

体験学習とビジネスケースを使った研修については、効果が高いのでぜひ試してみてください。

2012年4月28日土曜日

アクティビティの振り返りで陥りがちなこと


前回は振り返りの注意点について書きました。今回も振り返りについて、私の経験から陥りがちなことと、自分が気をつけていることをご紹介したいと思います。

①研修の目的・落とし所を見失ってしまう
振り返りを行っていて、参加者からの様々な感想や意見に振り回されて、講師は振り返りの目的を見失ってしまうことがあります。そして、参加者は、振り返りの最後の時点でたくさん話をしたが、結局今回のアクティビティを何のために行ったのか、何が重要なのか分からないまま終わってしまうことがあります。

振り返りでは講師は常に目的を意識し話しの場をコントロールして、話がずれた時は目的に立ちもどれるようにすることが重要です。そのためには、事前にアクティビティを行う目的は何か、どのような気付きを出したいのかを明確にして振り返りに臨む必要があります。

②自分の評価を考えてしまい、参加者の話が聴けない
講師が振り返りを行っている時に、「講師として良いことを言わないといけない」と考えてしまうと、参加者にフォーカスできなくなり、話を聴けなくなってしまうことがあります。これは、参加者やお客様の担当者から講師として良くみられたい、良い評価を得たいと考え過ぎてしまう時に起きがちです。

私が気をつけていることは、常に自分と参加者のどちらを考えているのかを意識するようにしています。自分のことや評価を考えていたら、その思考は停止します。そして、参加者の話をしっかりと聴く意識を持つようにしています。

③自分の意見を押し付けて誘導してしまう
アクティビティの目的・落とし所はありますが、講師が目的を達成するためにあせってしまうことがよくあります。例えば、参加者の発言に対して良い悪いと評価してしまう、講師から決めつけで意見を伝えてしまうなどを行ってしまいます。それにより、参加者から結局講師は正解としこれを言わせたいんだと思われてしまい、納得感のある気付きにならない可能性があります。アクティビティのツールを使う目的は、一方的に主催者側が伝えるのではなく、アクティビティの体験を通して納得感のある気付きを得るために行っています。講師の意見を押し付けて誘導してしまうことで、参加者が自ら気付き、納得感を持った気付きを得る機会を無くしてしまいます。

振り返りの最後にアクティビティの目的や自分の考えを伝えても良いかもしれません。しかし、参加者が納得感を得るためには、最初は参加者の意見を聴きだして、他の参加者の意見も聴きながら徹底的に議論をするプロセスを経ることが重要だと考えています。

以上、①~③まで振り返りで陥りがちなことご紹介してきました。振り返りはとても難しいですが、講師は参加者の意見を引き出し、納得感を持った気付きを得るために最大限の支援をすることが重要だと考えています。

2012年4月22日日曜日

アクティビティの振り返りについて


今回のブログでは、アクティビティを行った後に
行う振り返りについて書いていこうと思います。

アクティビティを行った後に振り返りをすることは
とても重要です。振り返りを行わないと本当に単なる
ゲームになってしまい、勝った・負けたなどの喜び、
悔しさはあるかもしれませんが、気付きや学びもありません。
ただし、振り返りを行うにはいくつか注意点があるので、
自分が考えることを書いていきます。

【振り返りでの場づくり】
振り返りでは講師が教えるのではなく、
アクティビティから重要なことを自ら気付いていくことが
重要です。教えられたことではなく、自ら気付くことで、
納得感が高く行動変容につながりやすいからです。
深い気付きを得るためには、振り返りでは受講者同士が
アクティビティを行って感じたことを本音で話しをする
ことが何よりも重要だと思います。
従って、受講者が本音で安心して本音を話せる場づくりを
講師がつくることが重要です。例えば、以下に本音で話し
合える場をつくる方法を書きます。

・講師が主役ではなく、受講者が主役であることを常に意識する
・受講者に関心を持ち、話しを聴いて受け止める。
・受講者に唯一の正解はないので、感じたことをそのまま
話してもらいたいことを伝える。
・受講者の発言に対し、講師の考えで良い悪いを判断し、
押し付けや誘導をしない。
・講師と受講者の1対1で話しをするのではなく、受講者同士が
話しができるように促す。

【振り返りで話す内容】
話す内容については、アクティビティを達成するための
やり方・作業(コンテンツ)の話しをするのではなく、
意識・行動・お互いの関係性(プロセス)に焦点を
当てて話します。実際の仕事がアクティビティを
達成することであれば、いかにアクティビティを
達成するかのやり方を振り返りで話すことが重要ですが、
実際の仕事は異なります。コンテンツの話しをしても、
次に活かすことができるのは、また同じアクティビティを
行った時だけになってしまいます。
プロセスに焦点を当てることで、アクティビティを達成
する上で個人・チームとして重要な意識・行動に気付き、
仕事をする上で組織、個人として重要な意識・行動の
ヒントにすることができます。例えば個人として
アクティビティを達成するために「あきらめないで
やり切ること」が重要であるという気付きがあれば、
仕事をする上で個人としては同様の気付きにつながったり、
アクティビティのチームで、「目標と計画を共有する」こと
の重要性に気付きがある場合は、仕事のチームでも同様の
気付きにつながります。アクティビティは個人や組織で
仕事をする時の疑似体験をすると言ったりもします。

【振り返りの進め方】
振り返りを実際に行う時にどのように進めたらよいのか
分からない方も多いと思います。受講者が活発に話しをして、
しかも仕事への気付きにつなげるのはとても難しいことです。

例えば振り返りの進め方のイメージを持っていただくために、
例として以下の方法をご紹介します。

①感想を聞く
アクティビティを行って受講者は達成できてうれしい、
達成できなくてくやしいなど感情を持っていることが多い
ため、まずは感想を聞き、感じたことをそのまま言葉に
出してもらう。この段階では、気持ちを吐き出して本音で
話しをする場づくりと、受講者が感じていることを理解して
気付きにつなげることが目的です。あまりここで感じたこと
の理由を深堀せずに多くの人に感情を出してもらうのがが
良いと思います。
②良かった点を話す
アクティビティを行ってどのような点が良かったのか
を話します。個人・チームとして良い行動・関わりについて
気付きを出してまとめます。
○○さんの発言・行動でみんなやる気になったとか、
アクティビティを実行する前に、目標と計画をみんなで
共有したことが良かったなど  
③改善点を話す
アクティビティを行ってみて良くなかった点、改善点
を話します。もう一度同じことを行うとしたら、どのように
行うかも話しをしてみるのも手です。
個人・チームとして改善点の気付きを出してまとめます。
④職場への活用
アクティビティからの気付きを職場でどのように活かすのか
について話しをします。アクティビティはゲームで非現実的
なものですが、職場でも同じようなプロセスが起きていないか、
アクティビティからの気付きを職場でどのように活用できるか
について受講者に考えてもらいます。
⑤自分ができること
最後に職場で自身が意識して行動していくことを考えてもらい
他のメンバーに宣言してもらうことで、自身の行動変容につなげます。

今回は振り返りについて書かせていただきました。
他にもいろいろと振り返りの重要な点はあると思いますので、
ぜひこんな点も注意したほうが良いということとありましたら、
教えてください。

2012年4月15日日曜日

アクティビティの紹介(ペーパータワー)


今回のブログでもアクティビティのご紹介をいたします。

今回ご紹介するアクティビティは、「ペーパータワー」です。
このアクティビティもよく知られています。私の会社でも
リーダーシップやチームワークなど研修を行う際によく利用しています。

このアクティビティは、配布される紙(A4用紙40枚)を使って、
45秒間で他のチームよりも高い塔を作るというものです。

ルールとしては、以下です。
・塔を作る前に作戦会議を行う。作戦会議は10分間。作戦会議の間は、
紙は一枚だけしか使ってはいけない
・紙は折り曲げたり切ったりしても構わない。
・配布される紙以外の道具は使ってはいけない。
・塔は自立していなければいけない。

このアクティビティの目的は、複数チームがいるなかで、
他のチームに勝つために、他のチームを常に意識して具体的作戦を立て、
行動することの重要性を理解することです。

実際に起きやすい受講者の状況としては、以下です。

・他のチームのことは意識せず、自分のチームのことしか考えない
⇒自分のチームの作戦を考えることに必死になり、他のチームが
何段までどのような方法で行うのか意識していない
・他のチームに勝つための具体的な「目標」(どのような形のタワーで、
何段まで積み上げるのか)が明確になっていない
・「目標」を達成するための「プロセス」(塔を立てる方法、時間配分、
役割分担)が明確でなく、全員に共有されないまま本番を迎えてしまう。
本番では、時間が短いなか、作戦会議で話されていたことが実行できない。 
・本番で起きるリスクについて具体的に詳細まで考えられずに実行してしまう。
例えば、2段目を組み立てようとするが安定せず崩れてしまう
⇒作戦会議では1枚の紙しか渡されないため、複数の紙を積み上げた時
に起きうることを想定していない

受講者が得る気づきとして多いのは、
・他チームに「勝つ」ために、自分のチームのことだけでなく、他のチームの
状況を作戦会議と本番で常に意識して行動することが重要。
・「目標」を全員で明確にすることが重要。
・「目標」を達成するために、「プロセス」を明確にして共有することが重要
・実行する前に起こりうるリスクも考えて、対処方法も考えておくことが重要

「ペーパータワー」は、チームとして「目標」と「プロセス」を明確にして
行動することだけでなく、競合を意識して「勝つ」ために行動することの
重要性に気付かせてくれます。競合を意識することは頭では分かっていても、
経験がないことを行う場合、時間に追われる場合、物に制約がある場合などに、
競合のことは意識から外れてしまい、自分達のことしか考えられないように
なってしまうことに気付かせてくれます。

このアクティビティもぜひ試してみてください。
ただしエコ的な観点から、裏紙などを利用されることをお勧めいたします。

2012年4月8日日曜日

アクティビティの紹介(ブラインドスクエア)

今回のブログでは引き続き、体験学習のアクティビティに
ついてご紹介いたします。

今回ご紹介するのはブラインドスクエアというアクティビティです。
このアクティビティは比較的、企業の研修で実施されていることを
研修担当の方から聞きます。

このアクティビティは、リーダーを一人決め2チームで行います。
リーダーとメンバーは全員目隠しをします。リーダーにのみミッションが
伝えられます。ゴールは、それぞれのチームが輪になったロープを持ち、
ロープで正方形をつくり、お互いのチームがつくった正方形を25%重ね
れば達成です。

みなさんは、最終のゴールの形をイメージすることはできますか?
少し考えないとイメージするのは難しかもしれません。

ゴールの形は、正方形を小さい正方形4つに分けてそれぞれを1/4
ずつ重ねます。
平行に4つ切って1/4重ねるやり方もあるので、リーダーは全員に
ゴールイメージを明確に伝えることが困難な状態です。

1チームは4~8人程度が良いと思います。(最低正方形の4つの角に
一人ずつ人が必要になります。)準備としては、8~10メートルぐらいの
ロープを結んで輪にします。

ルールとしては、以下です。
・リーダーにのみミッションが伝えられます
・リーダーとメンバーは目隠しをする
・リーダーはロープを持たなくても良い
・メンバーは両手でロープを持たなければいけない
・メンバーは持った両手をずらすことができるが離すことはできない
・目隠しをしたら、終わるまで外すことはできない
・できたと思ったら、講師に伝え地面に置く
・両チームは3メートル程度離れた状態からスタートする
・制限時間は20~30分程度

進め方としては、
①リーダーを一人決めます
②その他はメンバーになり、2チームに分かれます。
③それぞれのチームは、5メートルぐらい離れます
④それぞれのチームは内側向きの円になって目隠しをします。
⑤両手を前に出してもらい、講師がロープを渡し両チーム全員が
両手で持ちます。
⑥講師からリーダーにアクティビティのミッションを説明します。
⑦アクティビティスタートです。


実施時に起こりがちなことは、リーダーはスタート直後に、最終形を
どのようにするかに関して伝えようとしますが、目隠しをしていて、
チームがお互い距離が離れているため、ゴールとプロセスを全員がイメージ
することが難しく、まずはそれぞれのチームで正方形をつくりはじめます。
その際に、メンバーは両手でロープを持っていなくてはないけず、何も
できないと思ったり、また、ゴールとプロセス、そして状況も分からない
ため、目標への意識が薄れ、指示待ちになることや、全体の目標ではなく、
自分が行う目の前のタスクをこなすことのみに集中します。

また、お互いのチームが5メートルぐらいの距離にいますが、それぞれの
チームが作業を進めていきます。リーダーもどちらか片方のチームにずっと
入ってしまい、正方形ができるまではお互いに何も話しをしません。

そして、お互いのチームが正方形をつくり、25%重ね合うために動きますが、
リーダーは2つのチームに指示を出さなくてはいけないと思い、一方的に指示
を出します。メンバーは、最終のゴールを全員が理解していなく、状況が
さらに分からなくなるため、はさらに受身や目の前のタスクのみを行うよう
になります。

このアクティビティを行って感想を聞くと、リーダーとメンバーからは
以下のような発言があります。

【リーダー】
・最初に全員にゴールを伝えて理解してもらえば良かった
・自分がずっと指示を出していたが、メンバーとやり方を考えて、
共有して進めれば良かった
・もっと分かりやすい指示を出せれば良かった
・チーム間での情報共有をもっとすれば良かった

【メンバー】
・最終的にどのような形にするのかするのかイメージが分からなかった
・目隠しでまったく状況が分からないと誰がどこにいるか分からず、
お互いにコミュニケーションを取るのがとても難しかった
・もっと自分から発言や行動をすれば良かった。リーダー任せにしてしまった。
・自分のチームのことだけでなく、他のチームに対してもやり方など
伝えればよかった

そして受講者がこのアクティビティを行って一番実感するのは、以下です。

・チーム間で一つの目標を達成するためには、目標とプロセスを共有すること。
・リーダーは、最初に目標とプロセスを共有し、メンバーが自ら動けるように
すること
・メンバーは、指示を受けて動くだけでなく、一人一人が全チームの成果を考えて、
主体的に行動することが重要

このアクティビティは、実際の仕事でも例えば部門や部署間で一緒に仕事をする時に、
リーダーとして、メンバーとしてどのような意識と行動で仕事をする必要がを考えて
もらう際に有効です。「自社でも同じようなことが起きていませんか?」という問いかけで、
受講者は他のチームと仕事をする際には目標とプロセスを共有して仕事を進めて
いなかった、自分は言われたことしかやっていなかったなど、と同じようなことが
起きていると、仕事での自身についてハッと気付くことが多いです。

ぜひ試してみてください。

2012年4月1日日曜日

アクティビティの紹介(ブラインドウォーク)



今回のブログでは、体験学習に関して、アクティビティをご紹介
いたします。ぜひ社内でも機会があれば試してみてください。

ご紹介するアクティビティは「ブラインドウォーク」といいます。
体験学習のアクティビティとしては有名でご存じの方も多いと思います。
ブラインドウォークは、2人一組のペアになり、一人は目隠しをします。
目隠しの人に目を開いている人が指示を出し、スタートからゴール
まで他のペアと競争してなるべく早くゴール行くことがミッションです。
広い室内で行う場合は、スタートからゴールまでは机や椅子、段差など
障害物があります。
(実際に行う時は安全に注意して行ってください。)

ルールは以下です。
・ゴールは目を開いている人にのみ伝えます。その間、目隠しの人は
スタートで待っています。
・目を開いている人は目隠しの人の体に触れることは
できず、声だけで指示をします。

このアクティビティの目的は、情報の格差がある(目隠しをしていて
状況が分からない、目隠しをしていないため状況が分かる)なかで、
情報を持っていない(目隠しをしている)相手に対して、効果的な
指示の出し方を体感します。

さて、いよいよアクティビティを開始します。スタート地点で
ペアの一人が目隠しをして、目を開いている人が指示をしてゴールに
向かいます。

ブラインドウォークを実際に行うと、目を開いている人と
目隠しをしている人はどのような状態になるのでしょうか。

【目を開いている人】
・スタート直後から、ゴールはどこかを伝えずに具体的な動き方の
指示を出す。例えば「そのまままっすぐ」「右に少しずれて・・・」など
・目を開いている人から目隠しをしている人に対して一方向のコミュニ
ケーション状態が最後まで続く
・「もう少し前に行って・・」「あとちょっと前」などどれぐらい動いたら
よいか分からない指示や、 「窓側の方に行って・・・」など、
目隠しの人には分からない指示をしてしまう場合もあります。

【目隠しをしている人】
・どこに向かいゴールはどこなのか、周囲の状況はどうなのか分からず
不安になる。
・物にぶつかったりつまづいたりしないか不安になる
・言われたことのみを行う受身の状態になり、何も話さなくなる
・指示があいまいで、どれくらい動いたら良いのか分からない

ブラインドコミュニケーションが終わった後に、アクティビティで感じたこと
に関して振り返りをします。特に目隠しの人から目を開いている人に対して
フィードバックをすることによって、目を開いた人がどのように指示
をすれば良いのか多くの気付きがあります。

目隠しの人から良く出てくる意見としては以下です。

・動き方を指示をする前に、ゴールはどこで、どのようなコースを行くのか
説明をしてほしかった
・物にぶるかるのではないかと不安だった。常に状況はどうなのか、
少し先がどうなっているのか教えてほしかった
・ゴールまであとどれくらいなのかを教えてほしかった。
・行動の指示をする際は、何センチとか90度など具体的に言ってほしかった
・声がなくなる時があり、このまま進んでも大丈夫なのか、声掛けがほしかった

最後にアクティビティからの気付きをもとに、実際の仕事につなげて
考えていただくと以下の学びがあります。

・情報を持っていない部下やメンバーに対して指示を出す時に、
やる事を伝えるだけでなく、ゴールとゴールまでのプロセスを伝える
ことが重要
・現状をできる限り伝え、また少し先に行う事も相手に伝えることで、
相手に安心感を持って行ってもらうことができる
・相手の立場に立ち、相手の状況を常に確認することが大事
・指示を出す時には、相手が分かりやすいように具体的・定量的に指示をする
・一方的に指示をするのではなく、相手が分かっているか、どういう指示を
してもらいたいかを確認することが重要

このアクティビティは、上司や先輩として部下やメンバーに対して指示を
出す時に、相手の立場に立って、相手が安心感を持って自ら前向きに目標に
向かえるように指示をすることの重要性を納得感を持って理解してもらう
際に有効です。頭では重要性分かっていても、実際に体験学習でやってみると
できない、特に競争や成果が求められると忘れてしまうことを強く感じてもらう
ことができます。

ブラインドコミュニケーションでは以上の気付きを出すために仕掛けを設定
することが重要なので、ご紹介します。

・指示を受ける側が目隠しをすることで、情報の格差ができる状況をつくり、
状況を分からなくさせる
・目を開いた人のみにゴールを伝えることで、目隠しの人がゴールを分からない
状況にする
・他のペアと競争をさせることで、目を開いている人が、成果を意識することで、
相手の立場を考えずに指示を出してしまうようにする
・スタートからゴールまで歩かせることによって、目隠しをしている人は、
周囲の状況が変わり、現在とこれからの状況が分からないことで不安が増大する。
・障害物を設定することで、目隠しの人はぶつかる可能性があり、不安が増大する。

ぜひ、社内の研修でも試していただき、参加者の方からどのような気付きが
あったか教えていただければうれしいです。